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階層移動で大幅な負担増に ~保育所保育料の値上げに異議あり(続)~

保育料は、保育料条例の中に別表として定められています。所得に応じて20以上の階層に区分された表です。今回の保育料値上げは、この別表を書き換える形で行われます。

別表はどう変わるのか。区は、議案に添えた資料の中で、各階層ごとに現行と改定後の保育料を示しました。たとえば、こんな具合です。
●D18階層 現行 38,500円 条例案 45,400円 差額6,900円 改定率 18%
   ※同じ階層の表記が条例改定の前後で変わっています。ここのD18は改定後の番号で、現行ではD16に当たります。
全ての階層について、同じように数字が入れられています。いかにも、保育料はこう変わりますよと説明するかのように。しかし、実はこの表(数字)は保育料値上げの実態を全く不正確にしか伝えていません。
改定の前も後も同じ階層にいるのであれば、確かにこの数字通りの値上げになるでしょう。つまり、額で6,900円、率にして18%の値上げということになるでしょう。しかし、実は改定の前後で同じ階層にいる人ばかりではない。それどころか階層が移動する、つまりこれまでの階層から上や下の階層に移る人が極めてたくさんいるのです。
私が請求して初めて、区は、階層を移る人がどのくらいいるかという資料を公表しました。それによると、階層が変わらない、つまり条例改正の前後で同じ階層にいる子どもはわずか31.1%しかいないのです。階層が上がる子どもはなんと44.1%。階層が下がる子もいますが、こちらは24.8%。つまり、ほぼ二人に一人が階層が上がるのです。

階層が上がるとどうなるか。
先ほど例に挙げたD18の階層で見てみましょう。この階層には、今は157人います。そのうち、条例改定後も同じ階層に残る子どもは何人か? わずか18人です。57人が下の階層に移り、逆に82人が上の階層に移ります。激しい人は、3つも階層が変わります。そして、階層が変わってしまうと、保育料の変化は全く違ってくるのです。
2歳以下の場合の保育料について、階層移動前後の保育料の変化を整理してみるとこうなります。3階層上がる人は、38,500円から58,100円へ。値上げは19,600円、率にしてなんと50.9%増です。月額19,600円増ということは、年にすれば24万円近くになります。たいへんな負担増です。
実は、同じように階層移動によって大幅な負担増を強いられる人がたくさんいます。少数ですが、3倍近くになる人もいます。たとえばD1階層(現行のC2)の場合、9人が2階層上がりますが、保育料は2,400円から7,000円(2.9倍)に跳ね上がります。この階層の推定年収は約200万円。非正規雇用のひとり親世帯、かもしれません。この限られた年収の中で、保育料が年6万円近くも引き上げられるというのは過酷なことです。区は、保育料改定にあたって低所得者に配慮したと言っています。しかし、それはあくまで表の上でのことであり、ひとりひとりの実際の保育料変化を見れば、全く異なる実態が浮かんできます。
条例は撤回すべきです。改定の影響を具体的かつていねいに検証しながら、保育料負担の在り方に立ち返って議論をやり直すべきです。

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