Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

賀詞交換会と「君が代」

 今日は、練馬区と練馬区議会共催の「新年賀詞交換会」でした。
 「年頭にあたり、区内各分野の方々が一堂に会し、新春を寿ぐとともに交流を深め、今後の区政の一層の進展を願い決意を新たにするため」という目的を掲げたこの賀詞交換会、毎年、区政に縁の深い諸団体・個人を招待し、1,000人を超す参加者があります。始まったのは1983年と言いますから、もう20年以上続いていることになります。
 しかし、今年の賀詞交換会は、昨年に続いて、野党系の会派から多数の欠席者が出ました。私も、会派の合意の上で、昨年に続いて欠席しました。欠席の理由は、賀詞交換会の場で、多くの会派の合意のないままに「君が代」斉唱が行われるようになったからです。
 賀詞交換会は、区だけでなく、区議会も共催しています。つまり、区議会も主催者の一員となっています。どのような内容と進行のものにするか、議会は主体的に判断しなければなりません。そして、「君が代」斉唱を式次第に盛り込むかどうかという、各会派の立場が鋭く対立するだけでなく、各議員の政治信条に深く触れる問題について、自民党、公明党は議会の多数をもって決するという態度に出ました。一昨年暮れのことです。こうした自民党、公明党の対応に反発する他の会派の多数の議員が昨年の賀詞交換会を欠席、議会がこぞって新年を祝うという本来の趣旨からは程遠い事態になったのですが、今年も事態はまったく改善されないままとなり、私も含めて多くの議員が再び欠席したのです。
 


 多数をもって意思を決するのは、議会のひとつのルールです。しかし、議会のもうひとつのルールは、意見の多様性、相違が最大限に尊重されなければならないということです。それは、行政権力と違った議会の議会たるゆえん、その生命線でもあります。条例を議決するような場合には、意思を決すること、つまり多数を確認することが不可欠です。しかし、幅広い区民と行政、議会が新年をこぞって祝うような場に、しかも議員の政治信条の基本に触れるような問題で、あえて「多数決」のルールを持ち込むことは議会のとるべき道ではありません。
 練馬区議会は、たとえば議会としての意見書をあげるときにでさえ、「全会一致」を前提にするという慣例を守ってきました。この慣例は、「意見書」をとても使いづらいものにしてしまっているとも言えるのですが、他面では、議会が対外的に公的な態度表明を行うにあたっては最大限、少数意見を尊重しようという意思の表れでもありました。そうした慣例からしても、祝賀と交歓を目的とする賀詞交換会のような場で少数意見を押し切ってまで「君が代」斉唱を強行しようとする自民党、公明党の対応は、尋常ではありません。
 少なくとも議会が主催者の一方である限りは、全会派が合意ができ、全議員が気持ちよく新年を祝えるような賀詞交換会にすることが、議会本来のあり方です。私は、私自身の信条でもある国民主権と民主主義の原理に照らして、「君が代」を国歌として歌うことができません。「君が代」斉唱を盛り込んだ式次第に賛成することもできません。そして、そんな私の信条がどうでも良いものとして取り扱われるのであれば、賀詞交換会に主催者の一員として出席することはできません。

コメント