Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

議員の報酬 その3

 毎月15日、議員の報酬が支払われます。今月も、もうすぐです。
 今、私(役職のない議員)の報酬は、月額615,000円。この報酬では議員の仕事に合わない、生活も厳しい--議員報酬の引き上げを求めて、こうした声が聞こえてきます。
 私が2003年に議員になったとき、報酬は630,000円でしたから、報酬は月15,000円下がりました。一時金は少し増えましたが、全体としてみれば、年間の収入はいくらか減っています。定率減税の廃止などがあって税金は増えたし、社会保険料の負担も大きく増えました。議員年金の掛け金も、毎年のように増えています。こうしたもろもろを考えれば、確かに、議員の暮らし向きも苦しくなったのは事実です。
 でも、だから報酬を上げようというのはちょっと違う。だいいち、この間、議員報酬が減額されてきた大きな理由は、一般職の公務員、ひいては民間の正社員給与の目減りを受けたものです。また、税金や社会保険料の引き上げは、別に議員だけではありません。日本中が、少なくとも一部の富裕な人たちを除けば、皆、生活の苦しさを日々、実感しているのです。いや、もっと言えば、表に見えないところで社会の格差の拡大と貧困化が進み、一時金もない、最低限の生活費もまかなえない、そんな収入しかえられない人たちが、しかも大量に生み出されてきました。議員も苦しいかもしれない、でも、世の中も同じように、いやもっと苦しい人たちでいっぱいです。
 人の苦しみを横において、自分たちだけ楽になろうなんて考える議員は、練馬区議会にもきっといないはず。だいいち、区議会は、反対する議員の声を押し切って、たとえば医療保険や介護保険料の値上げを決め、「行政改革」では、区の業務にどんどん不安定雇用を導入し、しかねもそれを「経費節減だ!」「民間活力だ!」と後押ししてきたのです。議会は、区民負担を増やし、区民の暮らしを不安定にしてきた一方の当事者です。その議会が、繰り返しますが、まず自分だけ楽になろうとするなんて、どう考えても道理が立ちません。
 区民の生活が改善され、広がり続けてきた格差が是正され、そのことが実感されてきたときには、議員の報酬引き上げも検討してよいかもしれません。でも、今は違います。
 どの議員もよく心得ているはずですが、私たちは、民主主義の議員です。市民の苦労や犠牲の上にあぐらをかき、市民を上から見下ろす、特権階級やエリートではありません。苦楽をともにし、市民の暮らしの下支えともつっかえ棒ともなるのが、議員の使命です。いまどき議員報酬の引き上げを持ち出すのは、大変恥ずかしいことである。私はそう思います。

 今定例会では、報酬引き上げの条例案は提案されない見込みとなりました。しかし、報酬審議会の答申は生きており、区としては議会の意向も確かめながら、引き続き検討していくという姿勢のようです。区民の皆さんが引き続き注視・注目されるようお願いします。
               このシリーズひとまず終了。「その1」は2月13日、「その2」は26日です。

コメント