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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

議員と「交通費」

 「日額旅費」の問題は、議員の「交通費」をどうするかという問題と密接に関連しています。
 議員は、特別職の非常勤公務員という身分ですが、一般に非常勤職員は「交通費」という手当てがありません。しかし、公務に伴って交通費がかかるとすれば、それは本来、経費あるいは費用として支払われるべきものです。そこで区の条例では、「費用弁償」という形で旅費の支給を認めることになっており、その中でとくに議員が議会の会議に出席する場合などに支払われる費用弁償として「日額旅費」が設けられています。つまり、条例上は、日額旅費=議員が会議に出るための交通費、文字通り「旅費」なのです。
 しかし、実際には、「日額旅費」は単なる交通費ではなく、日当としての意味合いを持ったものとして支給され続けてきました。議員の待遇が確立されず、兼職が一般的な状況であれば、議会に出るのは“本業”を休んでということにもなりますから、「日当」もまた一つの合理性があったのかもしれません。しかし、いまやとくに都市部では議員の報酬は一般の給与所得者の水準よりも高くなり、その職務も増大して議員の常勤化、専業化が進んでいます。そんななかで報酬とは別に、昔ながらに「日当」気分で多額の「旅費」を受け取ってよいのか。建前と実態は違うではないか。これが、「日額旅費」問題の核心です。

 私は、「日額旅費」はこう見直すべきだと考えてきました。

●議員の公務(会議出席)にともなう交通費については、支給すべきである
●ただし、その額は、交通費の実費にふさわしい水準にすべきである
●具体的には、通常の公共交通手段を使って自宅から登庁する際の個々の実費とするか、一律定額にするのであれば区内各地からの交通費を考慮して片道1000円(または距離によって500円と1000円の2段階)にまで引き下げるべきである

 「日額旅費」を交通費に対する費用弁償としてきちんと整理をすることが、見直しの出発点であり基本でなければなりません。私が、自・公両会派の提案に反対した理由は、何よりも、「日額旅費」とは何かというこの原則がちっとも整理されていないからです。3,000円という額は、交通費としては説明できない中途半端な減額であり、実際に提案理由の中で3,000円の説明として言われたのは「議会改革の一環として」「23区の支給水準を比較考量し」て決めたということだけです。これでは、私にはとても賛成できるものではありません。6,000円から3,000円への減額は決して小さなものではありませんが、しかし、考え方も仕組みも整理されず、そのときそのときの財政状況や区民の目を意識しながら改定されてきた「日額旅費」の歴史にページを一つ付け加えるだけであれば、とても「改革」とは呼べないでしょう。

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