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議会最終日 「松の風文化公園」で反対討論

 練馬区議会第4回定例会は、13日、閉会しました。閉会中の委員会も年内の予定はありませんから、議会の公式日程はこれでおしまいということになります。
 最終日の本会議では、松の風文化公園の指定管理者を決める議案に反対の立場から討論を行いました。共産党も反対討論に立ちました。普通、2つの会派が反対討論に立てば、与党側から賛成討論があっておかしくないのですが、結局、自民党も公明党も討論なし。堂々と賛成の論陣を張ってもらいたかったな…
 とまれ、討論の全文を再掲します。本会議の採決自体は、少なくとも今の議会構成=与党2会派で楽々過半数を確保している構成では議会の意思を確認するためのセレモニーのようでもあるのですが、しかし、なぜ反対かなぜ賛成かをきちんと記録に刻んでおくことは、結果のいかんにかかわらず大切なことです。というわけで、お時間がありましたらご一読を。

 生活者ネット・市民の声・ふくしフォーラムを代表し、議案第138号に反対の立場から討論を行います。
 この議案は、松の風文化公園の指定管理者として、練馬区体育協会を代表とし、㈱植文、㈱五十嵐商会を構成団体とする共同事業体を指定するものです。
 私たちが反対する第一の理由は、そもそもなぜこの団体が選定されたのか、納得できる根拠が示されていないことです。プロポーザルには5つの事業者が参加していますが、その中で、なぜここなのか?



 共同事業体の代表団体である練馬区体育協会は、練馬総合運動場の管理運営は受託しているものの、本格的な施設管理の実績はなく、そもそも都市公園の管理に至っては定款上の事業としての位置づけすらありません。さらに、共同事業体の中で緑の管理を担当することになる事業者もまた、区立施設の樹木選定等の実績こそあるもののそれらは少額・単発のものが大半であり、公園管理となると、大小を問わず実績はまったくありません。
 体育協会の定款上の整理は、深刻な問題です。定款上、「公園管理」が事業として位置付けられていないことを指摘されたのに対して、区は、当初は定款上の「その他」の事業に該当すると答弁していたものを、翌日には社会体育施設の管理に該当すると説明を一変させました。苦し紛れの答弁は、定款上の位置づけという基本的な点ですら応募の条件が整理されていなかったことを暴露していると言わざるを得ません。
 松の風文化公園は面積48,000㎡、区立公園としては最大規模の公園の一つです。しかも、樹木や生物などの自然環境、芝生や建物も含めた景観など、風致公園としての高い価値に加え、スポーツ施設、文化施設など複合的な機能や意義を持った公園です。取得と整備に約90億円を投じたこの公園には、それにふさわしい実績と専門性を兼ね備えた管理者が不可欠です。まずこの点で、練馬区は適切な事業者を選定したとはいいがたい。
 今回、私たちは、落選団体の企画提案書を比較検討する機会を得ました。そして、企画提案の評価を事実上、理事者に白紙委任するような議会審査のあり方がいかに間違っていたかを痛切に思い知らされました。選定された団体の提案内容が失格だと言うつもりはありませんが、しかし、他の2つの団体の方が事業の実績はもとより、企画提案の内容としてもずっと広がりも奥行きもあり、かつ具体的であったのです。
 選定における区の評価は理解しがたいものです。見る目がないか、見えているものも見なかったか。恣意的で不公正な評価が行われたのではないか? こうした疑念をさらに高めたのが、体育協会と練馬区や政治家との深い結びつきです。
 体育協会は公益社団法人として高い公益性を認められているとはいえ、あくまで民間の団体です。ところが、その一民間団体であるはずの体育協会の名誉会長には志村区長が、名誉顧問には河口教育長が就いています。志村区長は言うまでもなく指定管理者を決める立場の責任者。そして、教育長は指定管理者の候補を選ぶ選定委員会の副委員長です。さらに、練馬区体育協会の会長は現職の都議会議員であり、構成するスポーツ団体の会長には何人も区議会議員が就任しています。選ぶ側に立つ人間が選ばれる側の役員や中心メンバーでもあるというこの構図は異様です。
 この問題に対して、区は「役員であっても実質的な決定権はないから法律上、問題はない」などと強弁し続けました。区民感覚とはおよそほど遠いこの答弁には、与党の議員からも厳しい叱責が飛びましたが、全く鈍感極まりない話です。法的な責任以前に、公平・公正に疑念を抱かせるようなことは極力避けるべきです。それは、行政としての当然の姿勢です。
 指定管理制度の公正さ・公平性への信頼が大きく揺らいでいます。
 翻ってみれば、区が公園整備に関する基本計画を取りまとめていく過程では、事務局は土木部に置かれ、この公園の何よりの価値が豊かな自然環境や景観にあること、公園取得の最大の目的が石神井公園の沼沢群をはじめとした一帯の自然環境の保全であることが明瞭に語られていました。しかし今や、公園のみどりはスポーツ施設の付属物のように取り扱われ、風致公園である松の風文化公園はまるで社会体育施設扱いです。
 私たちは、第2回定例会に提案された松の風文化公園の設置条例の審議の際にも、みどりや景観、自然環境や生態系への配慮やこだわりが決定的に失われつつあることを強く危惧し、理事者に対して繰り返し警告を発してきましたが、私たちの危惧は、指定管理者の選定においていっそう歪んだ形で的中してしまいました。
 松の風文化公園の本来の価値と意義はぞんざいに扱われ、広く民間の力を活かし、公平・公正な手続きと評価のもとに最適な団体を選定するという指定管理制度の大原則は深く傷つけられようとしています。議案の撤回と公募選定のやり直しを強く求め、討論とします。

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