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松の風文化公園議案、委員会で可決

 練馬区議会区民生活委員会は9日、練馬区体育協会などの共同事業体を松の風文化公園の指定管理者とする議案を賛成多数で可決しました。委員長を除く委員8人のうち、反対したのは私の会派(生活者ネット・市民の声・ふくしフォーラム)の加藤木委員ともうひとり、こうらい委員の二人だけでした。非公開の全員協議会では、ほんとうに厳しく議案の問題点を指摘していた公明党の対応が注目されていましたが、結果は賛成でした。
 プロポーザルに応募したのは5団体。私は、選定された団体以外に2つの団体から企画提案書を提供してもらい、じっくり読み比べました。しかし、企画提案の内容、つまりこの公園をどう管理し運営していこうかという評価の柱になる部分で、選定結果はとうてい納得できるものではありませんでした。どんな公園にしたいか、どんな企画を考えているか、みどり、芝生、アカマツ…をどう保全していくか。あるいは、利用者に対してどんな態度で臨むか。選定された団体の提案内容が失格だというつもりはありませんが、しかし、他の2つの提案の方がずっと広がりも奥行きもあり、かつ具体的であったと言わざるを得ません。区の評点によれば、「安全性への配慮」「施設管理運営体制」「利用者への対応」などは私が見た3つの団体は全く同点です。見る目がないか、見えているものも見なかったか。理解しがたい評点です。
 もちろん、企画提案の評価は評価するものによってかなりばらつきが出てくるでしょう。また、専門的な見地からは私と違った見方もあったのかもしれません。しかし、より客観的に評価・比較できるもの、例えば事業者の実績はどうでしょう。

A:選定団体(体育協会、㈱植文、㈱五十嵐商会)
 体育協会は、公園管理の実績はありません。公共施設の指定管理の経験もありません。練馬区の総合運動場の管理運営を委託されていますが、これが施設の管理と言える唯一の実績です。しかしもちろん、この運動場は公園ではなく、運動施設としても本格整備前、施設らしい施設はありません。
 ㈱植文は、練馬の地場の造園業者さんですが、公園管理の実績はありません。練馬区の公共施設にある樹木の剪定等の仕事は受託していますが、しかし多くは小額なもののようです。現在の従業員数は9人。

 この二つの団体で責任割合87%になります。残りの部分を担う五十嵐商会は、区の周辺では大変良く名前を聞く法人ですが、松の風文化公園では廃棄物処理や管理棟の日常的な維持・清掃のみを担当するとされています。
 これに対して、落選となった団体では、総合公園や運動公園の指定管理実績を持つもの、区立施設の管理実績もはるかに多く蓄積している法人が参加しています。実績の優劣は、明白です。松の風文化公園は、たいへん大きな、そして貴重な価値と多様な要素を持った公園です。実績の持つ重みは、さらに重く評価されてしかるべきであったはずです。応募団体の実績の差は、的確に評価されたのでしょうか。
 区が体育協会等を選ぶにあたって、他の団体に比べて特に高く評価したのは区内事業者であること、そして区民雇用に積極的であること、この2点でした。特に区民雇用については、もともと100点中15点という大きな配点がなされ、ここで体育協会等は2番手3番手の団体に対して3点、6点の差を付けました。しかし、この差についても、とても合理的なものとは思えません。
 体育協会等は全員の区民雇用を「めざす」という提案です。しかし、雇用する従業員の数は13人。これに対して、落選したある団体の場合は31人の雇用を提案し、うち29人が区民なのです。13人中13人を「めざす」という提案と、31人中29人という提案。どちらが区民雇用に貢献すると思いますか? しかも、区民雇用でない2人は施設管理者と副管理者、そして施設管理者の方には公園管理運営士、1級造園施工管理技士、1級土木施工管理技士などの資格を持つ人を配置するとされています。公園管理や土木の文字通り専門職を配置する、9割以上は区民だという提案と、全員が区民だとしても特に専門的な資格を有する人を配置するものではないという選定団体の提案と、総合的に見てどちらを取るべきだったでしょうか?

 いやいや、とにかく具体的に企画提案書を見ていけばいくほど、体育協会等を選んだ合理的で客観的な根拠を見出すことは困難です。最後に残るのは、体育協会に指定管理をやらせることがそれ自体、特別な意味を持つという判断です。しかし、区はどこでもそんなことは言っていないし、そうだと判断できる根拠も全く示していません。だからこんな疑念を呼んでしまうのです――体育協会とのつながりが選定の公正さを歪め、この結果になったのではないか?と。
 この疑念に対して、区は決して説明責任を果たしていません。本当に残念で、納得しがたい選定結果です。しかし、今、この結果を議会は受け入れようとしています。

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