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“瑕疵担保責任”と豊洲移転問題 ~東京都は訴訟で何と言ってきたか~

豊洲の土地の購入にあたって、東京ガスに対して“瑕疵担保責任”を免ずる主旨の話はどこでどう進んできたのか? 先日の百条委員会でも、この点に大きな関心が集まっていました。2011年の「豊洲地区用地の土壌汚染にかかる費用負担に関する協定書」は、「(東京ガス等は)今後、土壌汚染にかかる費用負担をしないことを確認する」としており、事実上、瑕疵担保責任を解除しています。この2011年協定書の内容は、いつ固まったのか。誰が整理したのか。
3月3日、急きょ開催された記者会見で、前川練馬区長はこの問題に触れてこう言っています。
「平成17年の確認書は、民法の瑕疵担保の責任があることが前提として作成されています。…瑕疵担保を免除した協定書を結んだのは、平成23年5月です。私が辞めた6年後です。」
「私が退職したのは平成17年の7月です。その時点では瑕疵担保は、まったく問題になっていませんでした。」

2005年(平成17年)の確認書――前川さんが知事本局長として押印している確認書は「瑕疵担保の責任があることを前提にしていた」。免除したのは2011年だ。そして、2011年の協定書には、自分は全く関与していない。前川さんはこう言っています。
確かに、2011年なら、前川さんは東京ガスに移動していました。少なくとも都の幹部職員として、この年の協定書に関わっていないことは自明です。しかし、2005年はどうでしょう。あるいは、2002年、やはり前川さんが知事本部長として印をついている「合意」はどうでしょう。当時は「瑕疵担保の責任があることを前提にしていた」という前川さんの発言は、正しいでしょうか。
この点で、実は東京都は全く違った見解を公にしてきています。住民訴訟の場で、都はこう言っているのです。(被告側準備書面より)

おわかりでしょうか。都はこう言っています。平成14年(2002年)の合意で「東京ガスが義務として負うべき汚染対策を『環境確保条例』の限度とすることで合意に至った」と。つまり、裁判の場で都は、瑕疵担保責任の解除につながる合意を、2002年にさかのぼって説明しているのです。都は、同じ準備書面でこうも言っています。

「『14年合意等』において東京ガス等と都が合意した内容は、①市場予定地の売買契約に当たって汚染原因者である東京ガス等が行うべき汚染対策は「環境確保条例」の基準以下とすることに限定されること、及び②東京ガス等が①の汚染対策を実施すれば市場予定地の土壌汚染についての義務を尽くしたことになり、都がその時点の上記汚染対策の実施を前提とする「適正な時価」で東京ガス等の地権者から土地を購入する義務を負うことであることが、合理的に帰結される。」


2002年の段階から、東京ガスの瑕疵担保責任を解除する趣旨で合意が重ねられてて来たことを都は認めています。前川さんの説明とは、ずいぶん、いや決定的に違っている。真実はどこにあるのか? 解明すべき大きな課題です。

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