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東京ガスとの協議に関与は「全くの事実誤認」!? ~前川区長と「豊洲移転」(その2)~

築地市場の豊洲移転問題について、私が聞いたのは2点でした。(質問通告より)

築地市場の豊洲移転問題は、すっかり先が見えない状況になっている。この問題は直接には都政の課題ではあるが、練馬区民も含めた都民の食の安全に深く関わっており、加えて、都財政に及ぼす影響も大きく、区政に対しても様々に波及してくる可能性もある。
区長は、かつて東京都の知事本局長等の要職にあった際に、豊洲の土地の購入条件に関する東京ガスとの協議に関与してきたと聞く。豊洲の土地購入については、石原元知事が、都が多額の土壌汚染対策費用を負担したことは「今思えばアンフェアだ」、豊洲の土地購入は「ずいぶん高い買い物をした」といったことを公に口にしている。無責任と言えばその通りだが、しかし、多くの都民・区民が土地購入の経緯にさかのぼって疑念を感じているのも事実である。
①豊洲移転に深く関わった都側の当事者の一人として、移転を巡る都政の混乱を見て、どのようなことを感じているか。ぜひ所見を聞かせてもらいたい。
➁区民からは、区長が退職後、間を置かずして東京ガスに入社したことについても、不明朗な天下りではないか、ルールは守られていたのかといった趣旨のご意見を多くいただく。市民感覚としてもっともなご意見と思われるが、区長自身は、こうした意見に対してどう考えるか。併せてお聞かせいただきたい。

答弁に立ったのは、前川区長本人ではなく山内副区長でした。副区長も、東京都のOB。区長が呼んできた人です。副区長は、「前川区長は、このような質問が区議会の場において区長に対してなされることについて、嘆かわしいと言っております。私も、当時東京都におりまして、この間の経緯をよく承知しておりますので、前川区長に代わって答弁させて頂きます」と前置きして、大変長い答弁を切り出しました。
まず1点目の質問について。副区長はこう言いました。
「前川区長が『豊洲の土地購入条件に関する東京ガスとの協議に関与してきた』とか、『豊洲移転に深く関わった都側の当事者の一人』というお話は、全くの事実誤認であります。
そもそも、知事本局長の権限は、知事を補佐することであり、各局の実務に立ち入る権限は有しておりません。豊洲の土地売買や土壌汚染の処理に関わる権限を有するのは、東京都の中央卸売市場長と環境局長でございます。
これは、今回の地下空洞問題でも、歴代の知事本局長の責任が全く問題にされていないということからも、明らかであります。現に、前川区長は東京ガスとの協議に関与したことはなく、市場移転についても関わったことはございません。更に言えば、市場の豊洲移転は、知事本局長就任前の平成13年7月に決着済みのことでございました。そのときは前川区長は福祉局長でございました。今になって前川区長だけについて、権限があって関与したかのごとく、しかも伝聞に基づいてあげつらうことは、不可解と申し上げざるを得ません。」
協議に関与した、都側の当事者の一人…これはまったくの事実誤認。これが副区長の見解です。ちょっと驚きました。前回の投稿で紹介した、二つの文書は何なんでしょう。
そもそも、私が聞いたのは「土地購入条件に関する協議」であって、豊洲移転の意思決定そのものでもなければ、土壌汚染対策についてでもありません。そして、前川区長が「知事本局長」あるいは「知事本部長」として公印をついたのは、まさにこの購入条件に関する協議です。副区長は、いったい誰に向かって反論しているんだろう…。
「知事を補佐することであり、各局の実務に立ち入る権限はない」という答弁も、申し訳ないが噴飯ものです。実務には実務の所管がいるでしょう。しかし、正式に確認や合意の文書を交わすという行為、まさにこの事務においては、「知事を補佐」して押印する本局長等の役割は決して小さくないはずです。だからこそ、合意書等を見れば、5人の局長が印をついている中で、筆頭はまさに実務の所管である港湾局長(副区長が言うような市場長や環境局長ではありませんので、念のため)ですが、その次が前川さんなのです。
「補佐しただけ、私は知らない!」というのは、知事本局長という都政の中枢にいた人が言うべき言葉とは思えません。(続く)

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