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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

急増する「資格証」 ~決算審査から~

 2日目の「区民費・産業経済費」では、国民健康保険の「資格証」問題を取り上げました。資格証というのは、保険料滞納が長期化している世帯などに対して発行されるもので、この資格証では医療を現物で受けることはできません。いったん医療費の全額を支払ってのち、あらためて還付の請求をしなければなりません。事実上は、保険給付の制限、停止であり、あえていえば医療保険から“のけもの扱い”にするものです。
 この資格証が急増しています。しかも、ごくごく低所得の世帯で。さらには、高齢というよりも、比較的若年の単身世帯で。社会の貧困化を垣間見る思いです。滞納解消の手段としてはほとんど機能せず、むしろ医療制限によって社会保障の責務を自ら否定するような資格証の発行は見直すよう、求めました。議事録をご覧下さい。
     ※以下の議事録は未定稿です。正式なものではありません

池尻 国民健康保険事業会計繰出金に関連して伺います。
 先ほど来、幾つか出ていましたけれども、資格証の発行なのですが、数字を私もいたたきました。5年前は1,000を越す程度であったのが、1年前が3,800、直近で5,300と。資格証というのは、滞納、未納が固定化しているという面ももちろんあるのですが同時に現物給付を受けられない世帯がこれだけ急増しているということは、そうした面からも、かなり私は深刻な問題ではないかというふうに思っています。


 資格証を受けていらっしゃる方の階層別の発行状況というのをいただきました。それによりますと、資格証発行世帯全体の6割が住民税額がゼロということなのですが、この住民税額ゼロの6割の方たちの全体のイメージというのでしょうか、世帯構成や、あるいは年代について、特に傾向があるようでしたら教えてください。
国保年金課長 世帯構成につきましては単身世帯が非常に多いというところを把握しておりますが、年齢構成の部分までは把握しておりません。単身世帯が大体87%程度というふうに把握しております。
池尻 前年のお話を伺っている限りでは、特に高齢世帯は単身でも納付率が非常に高いということなので、想像するに高齢世帯でない若年世帯というのでしょうか、単身のウエートがかなり高いかなというふうに想像します。一人世帯で、年代的にも比較的若くて、かつ社保じゃなくて国保だというところで、資格証の発行が非常に多くなっていると。
 これは、私はどうしても昨今の社会的な貧困の広がりっていう問題と重なって見えてしまうわけですけれども、実は後期高齢者の方では、6月に政府与党の方で、追加的な負担軽減策をお出しになりました。その中で資格証発行の事務の見直しというのがありまして、そこでは「相当な収入があるにもかかわらず、保険料を納めない悪質なものに限って資格証を運用する」と、こういう考え方が政府与党から出ているわけです。この見直しに関連をして、厚生労働省がQ&Aを出していまして、そのQ&Aでは、例えば被保険者均等割軽減世帯に属するものには交付しないという、こういうQ&Aが出ているのですね。
 国保の場合には、住民税額ゼロとなると、これは恐らく過半は均等割の軽減世帯だろうと。国の考え方として、均等割の軽減であれば資格証を発行しない特別な事情に相当するというようなことまで実際に言い出しているという中で、改めて資格証発行のあり方を考え直すべき時期に来ているのではないかなというふうに思います。
 先ほど言いましたように、資格証の発行というのは、一方では、もちろん未納、滞納対策という面もあるのですが、かなりペナルティー的な色彩が強くなっていますし、逆に言うと、若い世代の療養の給付の制限に当たるということでは、社会の不安定化も含めて、いろんなリスクを背負っていると思います。こういう点もあわせて資格証発行のあり方、改めて考え方をお聞きしていきたいと思います。
国保年金課長 結果として、現在資格証世帯の数が増えてしまったことについては、このままでよいというふうに国保年金課としても考えているところではございません。ただ国民健康保険料自体につきましては、非課税の世帯の方についても均等割額は保険料を納入していただくという、そもそもの仕組みがございます。そこは、負担を共助の制度として、広く浅く皆様に負担していただくという制度構成になっておりますので、そういう点を踏まえて、どういう形で、その特別な事情を把握していくかというところは、制度そのもののあり方にもかかわるところなので、簡単に均等割のみ世帯を資格証から外すという形にはならないところだというふうに考えております。ただ、後期高齢者の医療制度の動向というのは、当然、75歳以上の方も同じ練馬区民でございますので、そこの動向というところは踏まえながら対応については、さらに検討しながら、まず何よりも資格証世帯の実態把握というところに努めていきたいというふうに考えているところでございます。

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