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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

学童クラブの保育時間 ~あるお母さんからのご意見に寄せて~

 学童クラブの保育時間について、こんなご意見を戴きました。

 私の子どもは、現在、区立の保育園に通園しております。今年で5歳と3歳の子どもがおります。5歳の子どもは、再来年には、区立の小学校に入学予定です。保育園を卒園した後の学童のことを今まで知らなかったので、区に問い合わせたり、周りの小学生のママたちに教えてもらったりしました。
 それでも、働く親としては、学童の預かり時間が理解できません。
 私は、近隣に親や親せきはおりません。学童の預かり時間は、区の直轄の学童ですと、9:00-18:00です。私の住まいの学童は直轄であることもわかりました。現在、私は、平日9:00-17:00で勤務しており、保育園は、8:30-17:45まで保育していただいております。自宅は、8:00に出発し、18:30に帰宅という感じです。9:00-の学童ですと、私は、仕事を辞めなくてはなりません。
 1年半後は 上の子どもが小学生、下のこどもは年中さん。保育園の先生や、先輩ママにも相談しましたが、みなさん、周りに祖父母がおられて協力を得てるとのことでした。祖父母がいない方は、下のお子さんと先に家を出て、上の子どもにカギを持たせて、1時間くらい自宅でお留守番をして1人でカギを閉めて小学校に1人で歩いてゆくと聞きました。
 何だか、安心して、仕事をできないと感じております。保育園は、朝、7:30-延長なしでも18:30までが基本の保育時間です。なのに、学童は、区の直営ですと、9:00-18:00というのが働く親としてとても働きにくい状況だと思いました。委託の学童ですと、8:30-だそうですが、直営がなぜ9:00-なのか理解が難しいです。
 保育園は、働く親の強い味方ですが、学童はそうでもないということに愕然としました。今から、1年半後、子どもが小学生になった時の仕事を続けるのか?辞めるのか?それとも他の方法があるのか?検討したいと思っております。できれば学童も、働く親の強い味方であってほしいので、朝は、できれば8:00-開始であってほしいと思っております。9:00-はどう考えても、厳しいです。

 これから学童クラブに子どもを預けようと考えている親にとっては、ごくごく自然な不安です。保育時間、とりわけ長期休業中の保育時間については、同じような切実なご意見を戴くことは少なくありません。とくに、直営クラブと委託クラブの保育時間の格差は全く不合理で、住所地による差別と言ってよいくらいです。これは、なんとしても是正しなければなりません。そのことも含め、こんなご返事を出しました。ちょっと長くなりますが、お読みください。

 学童クラブの保育時間の件ですが、ご心配はよくわかります。
 学童クラブから帰宅しても親がいない、あるいは学童クラブに行くために家を出る際に誰もいないということは、おそらくクラブに通っているお宅では珍しくないことだと思います。ちゃんとクラブに行ってくれるだろうか、カギは閉めただろうか、無事、帰宅できただろうか、帰ってから何をしているだろうかと、心配は尽きません。我が家も3人の子ども皆クラブに通いました。当時は確か9時-5時でしたから、もっと厳しかったです。


 ただ、実際に学校に行くようになると、いろいろと違った要素も見えてきます。まず、自力登校ですので、朝、学校に自分で行くということは日常になります。通常の学校の登校時間は8時ですから、その時間に親がいないというお宅もたくさんあります。練馬の場合は登校班を組むことが多いので、同じ班で声を掛け合いながら登校するということもあります。帰りについては、クラブでは同じ方向に変える子どもたちでグループを作って帰宅させることが多いようです。基本は自力の帰宅ですが、職員が見守りをしている場合もあります。遅くなってひとりだけ帰宅するよりも、友達と一緒に帰宅する方がよい場合もあります。
 子ども自身も、小学校に入ると、世界がずいぶん変わります。友達との共同の行動が広がりますし、自分で一人で何かをするということも身についてきます。また、長期休業中、特に夏休みは、午前中からプール開放やら何やら、いろいろと学校に行くことがありますので、子どもたちの日常もさまざまなバリエーションの中で作られていきます。鍵の管理も心配ですが、鍵をちゃんと持つことから始まって、閉めたかどうかの確認まで、子どもに覚えてもらうことは少なくありませんが、しっかりと育ってくれることも期待したいです。
 むしろ一番心配なのは、そもそも学童クラブに通いたいと思ってくれるかどうかかもしれません。学童クラブとの相性が悪く登室を嫌がるお子さんの問題は、より深刻です。それは保育の質に関わることですが、保育園と違って子どもが自らの意思で通うことを前提にしている場ですから、なかなか大変です。ただ、それも含めて、子どもの自立と成長の中でクラブ事業も考えていくということも大切かとは思います。
 私は、子どもを起こして、ちゃんと食べていくんだよと言い残して夫婦とも家を出る毎日を繰り返していました。携帯などもありませんでしたから、ちゃんと出たかどうかも確認できなかったわけですが、子どもの成長に救われました。親が先に出て一人になること、ひとりで親の帰りを待つことについて子どもも少しずつ分かってくれるのではないかとも思います。まずは、学校や学童クラブとのコミュニケーションをていねいにおとりになり、不安な点を伝え、子どもとも相談しながら生活を作っていかれたらどうでしょうか。これからの1年で、お子さんも大きく変わるかもしれません。直営のクラブとのこと、学校内になりますか? 学校内であれば、子どもにとっては行きなれた道になります。また、直営の職員は、こうした親の不安にどう向き合うかについては経験を積んでいる人も少なくありません(最近は職員の力量も落ちていますが)。
 いろいろ書きましたが、保育時間をどう設定するかについては、今のままでよいというつもりはありません。ただ、送迎をし、乳幼児を対象とした保育園と、自力の登下室で学校の放課後を対象とした学童クラブでは、おのずと考え方は違ってくるようにも思います。また、委託クラブと直営クラブの保育時間の差は、まったく不合理です。この問題は議会でもしばしば取り上げているのですが、要するに区としては、直営で時間延長をする経費を惜しんでいること、そして「委託」を進めるためにサービスの差別化に固執していることが背景となって、なかなか首を縦に振りません。学童クラブは保育園のように選択肢が多くなく、たいていは学校の通学区域で決まりますから、たまたま直営クラブにあたった親は保育時間の格差、差別を押し付けられることになります。同じ区立の学童クラブなのに、直営と委託でのこの大きな格差は不合理・不公正なものです。この点については、もしお気持ちがおありであれば、区に是正を求める声を上げて頂ければと思います。

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