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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

アスベストの事実さえ伝わらない

 開進第一小学校でアスベストが見つかったことについて、教育委員会が保護者宛にお手紙を出しています(「吹き付けアスベストの使用判明と今後の対応について」5/14)。アスベストの存在の事実そのものも含め、正確かつ十分な情報を提供することは、リスクコミュニケーションの基本です。このお手紙は、その第一歩だったはずです。
 ところが、このお手紙がなんともずさんなのです。たとえばこうです。
今回判明したアスベストについて ①種類 在来三種の内白石綿(クリソタイル)です。
 これは明らかに事実に反します。この「お手紙」には、検出されたアスベストの種類も濃度も書いてありませんが、少なくとも一つの普通教室では11%ものクロシドライト(青石綿)が見つかっています。なぜこんなうそを書くのでしょうか? 
 もう一つ、こんなことも書かれています。
「判明した箇所/1階 家庭科室、第2図工室/2階 配膳室、2年1組、3年3組、4年1組」
 これを見れば、たいていの人はここに書かれていない教室にはアスベストはなかったと理解するでしょう。ところがそうではないのです。2階には10以上の普通教室がありますが、そのうちここに出てくる3教室以外にも露出した吹き付け材がある教室はいくつもあります。それらの教室では、「検査の結果、アスベストがなかった」のではなく、「その教室はサンプリングをしなかったので分析していない」ということが事実なのです。いや、もっと言えば、まったく同様の吹きつけがある3つの教室からアスベストが見つかった以上、他の教室にもアスベストがある恐れが強いとさえ言うべきかもしれません。
 リスクを適確に伝えるという点からはおよそほど遠いこの教育委員会の「お手紙」を見て、私は、練馬区が苦労して積み上げてきたアスベスト対策の基本がいつの間にか見失われようとしているという、強い危惧を抱きます。
 配膳室の工事は、法や条例の定める届出や適切なアスベスト対策のないままに行われたことはほぼ確実のようです。違法な工事を行ってしまったことも含め、教育委員会は襟をただし、早急に「お手紙」を出しなおし、保護者に十分な説明と謝罪を行うべきです。そして、なぜこんな事態になったのか、前回の調査でこれだけのアスベストが見つからなかったのはなぜか、調査機関や調査指針を出した国の責任も含めて、きちんと解明すべきです。

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