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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

たかが組織、されど組織

 大きな――たいへん大きな「組織改正」の話が動いています。区が「子ども関連施策および文化芸術、生涯学習、スポーツ振興施策に関する組織の改正について(素案)」を公表、今、パブリックコメントの最中です。

    ➠「素案」は、区のホームページのこちらから

 今回の組織改正案の中で大きなウェイトを占めているのは、
①児童青少年部を中心に進めてきた「子ども」関連の事務・事業を教育委員会に移す
②教育委員会のもとにあった生涯学習関係の事務・事業を区長部局に移す
の二つです。それぞれ、類似・関連する事務・事業を「一体的、総合的、効率的、効果的」に進めるために、組織の再編や統合を図るというものです。この組織改正で、教育委員会には新たに「(仮称)こども家庭部」ができ、保育や学童クラブ、児童館などもここに移ります。幼保一元化や小学校での放課後の全児童対策事業への移行などを「先取り」した動きでもあります。他方、公民館は「社会教育法」に基づく施設としての位置づけを廃止して(仮称)生涯学習センターに移行、美術館やスポーツ施設などととあわせて教育委員会から切り離し、区長のもとに新たに設ける「(仮称)地域文化部」に置くことになります。
 
 いろんな課題をはらんだ組織改正案です。
児童福祉に関わる仕事が移ってくるため、教育委員会は概算で2,160人と全職員の半数近い正規職員を抱え、736億円の予算を預かることになるが、権限の過度な集中を避け事務の効率的な執行をはかるという点で、こうした巨大組織が生まれることについてどう考えるか
これまで区長部局で管理してきた保育や学童クラブなど、質量ともに大きな仕事を教育委員会で適切に管理できるのか
公民館が廃止され、生涯学習の過半が教育委員会から離れる中で、これからの練馬の生涯学習を体系的総合的に進めていくための枠組みはどうなるのか
練馬区の苦情調整委員制度は「保健福祉サービス」を対象しており、これまで保育や学童保育には数多くの苦情申し立てや相談が持ち込まれる一方で、教育委員会の管理する事務事業については対象外とされてきたが、保育等が教育委員会に移った場合にその扱いはどうなるのか
子育て関連の仕事を始め、教育委員会が所管することになる膨大な仕事と巨大な財政に対して、今後、議会の関与はどう保障されるのか
組織再編の影響を最も大きく受ける教育委員会では、この問題に対する議論はしっかりと積み上げられてきたのか
組織再編が事実上、先取りする形となっている幼保一元化や放課後の全児童対策への移行は、本当に積極的に進めるべきことなのか

 子ども関連の施策を一体的に進めたいという思いは理解できます。生涯学習に関わる事業が様々な組織に分かれている現状も改めていくべきでしょう。しかし、だからといってこれだけ多くの人と仕事を教育委員会に集めることがよいとも思えません。生涯学習についても、もう少し今後のあり方や体制をきちんと議論すべきだ、とりわけ教育委員会の議論を踏まえるべきだと感じます。今日の企画総務委員会でもこうした点を中心に質疑させてもらいましたが、区民の福祉や生活に深くかかわるだけでなく、たくさんの条例の改廃・制定をともなう話でもあります。しっかりと議会で議論していくつもりです。

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