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これで「都市計画」と呼べるのか? ~都計道の新しい事業化計画~

区議会の予算審議も、終盤に入りました。都市計画道路の新しい事業化方針(第四次整備計画)は、この議会の大きな論点の一つです。
この四次計画に関連して、私は、東京都に対してこんな公文書開示請求を出していました。
■「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)(案)」の取りまとめに当たって用いられた、交通量の現状と将来推計の資料■
四次計画は、これから10年にわたり、都市計画道路をどのような考え方、進め方に基づいて整備していくかをまとめるものです。都市計画道路の「必要性」や「優先順位」も、検討課題になっています。当然、交通量の実態や将来の推計は、その前提である。普通ならそう思いますし、私もそう思いました。そして、開示請求を出しました。
しかし、驚きました。出てきたのは、A4たった1枚の地図。そこに書かれているのは、一日6,000台以上と推計された路線の位置だけです。
ここには、路線ごとの推計交通量は全く示されていません。わかるのは、それぞれの路線の推計交通量が6,000台/日を超えているかどうか、だけです。交通量の現状に関する資料は、そもそも出てきませんでした。
6,000台という数字は、都と各区市町が、都市計画道路の必要性の有無を見分ける指標とした数字です。6,000台以上であれば都市計画道路として必要性あり、というわけです。6,000の数字自体は、都市計画道路の設計基準交通量12,000台/日の半分という意味だとか。なぜ3/4や2/3でなくて、半分なのか? 6,000台というのは、山間部の市町村道の設計交通量です。大甘、な基準ですよ、これは。
しかも、もしある道路が6,000台という推計になったとしても、周辺道路の状況によっては、その道路の必要性は全く違って現れてきます。例えば、並行して走る都市計画のない一般道があったとして、都計道の整備がこの一般道の交通量をただ移し替えるだけだとしたら、その都市計画道路の意味はほとんどないと言うべきでしょう。だから、推計の根拠、条件、前提となった周辺の交通量などをきちんと検証しなければならないのです。
しかし、出てきた資料は、上の地図1枚。他にある資料を隠しているというのではなく、四次計画の検討の中では、この資料以外は使っていないというのだから、驚きです。
こんないい加減な根拠、調査をもとに作られた事業計画に、どんな正当性があるのか? 道路は、車の通行以外にあれやこれやの、例えば防災やら緑化やらの効果があると、都も区も盛んに強調します。しかし、交通ネットワーク上の必要性がなければ、別にそれは道路の計画でなくてもよいのです。防災や緑化は、よくて付加的な効果、十分条件。交通ネットワークは大前提、必要条件です。
もはや都市計画道路は、道路の都市計画としての根拠を失いつつある。そのことを強く実感します。

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