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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「宝くじ」と区長会(その3)

 東京都の石原知事が辞めましたね。オリンピック、どうするんでしょう? 後始末が大変そうです…。

 話を戻します。23区区長会や市長会などが2020年オリンピックなどの東京招致に向けた「機運醸成事業」に取り組むこととしたこと、そのための財源を宝くじ(サマージャンボ)の収益金に求め、東京都区市町村振興協会から総額で9億9500万円もの助成を受けること、23区区長会はこのうち5億円を受け取り、そこから2億3000万円を各区に、2億7000万円を招致委員会に助成することを前回、紹介しました。この「機運醸成事業」は、あくまで区長会などの発意と働きかけで決まったことになっています。区市町村振興協会の平成24年度事業計画(追加)には下記のように書かれています。

 この度、東京都市長会及び 東京都町村会から 、スポーツ祭東京2013(東京多摩国 体)の開催気運醸成と合わせて2020年オリンピック・パラリンピックの東京招致への取組みに係る気運醸成事業への助成要望があった。また、特別区長会から2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招 致への取組みに係る気運醸成事業への助成要望があった。
 上記の要望事業は、地域の振興・発展に寄与することから、区市町村振興助成金成規程第2条の助対象事業であるので、第4回理事会(書面決議)において下記のとおり助成が決定 された。(以下、略)

 区長会などからの要望があった、それを受けて理事会で決定した。こういう説明です。しかし、区長会はあくまで各区の区長で作る任意団体であり、そこでの合意や“決定”は、各区の自治体の長としての公的な責任と権限に基づくものではありません。その証拠に、この区長会の要望について練馬区長が何らかの決裁を行った記録は私の知る限り残っておらず、また、要望の内容についても、それどころか要望を出すことについてすら区議会には全く報告がありませんでした。議会がこの話を知ったのは、区長会の「要望」を受けて区市町村振興協会の助成が決まり、さらに区長会から各区へ1000万円ずつの助成が決まってからのことです。
 区長会は、法に基づいて運用されるべき宝くじの収益金の使途について何らかの要望を出す権限を、少なくとも公的には持っていないはずです。しかも、たとえば区長会から助成された1000万円を各区がどう使ったか、そうした報告を見る権利は私たち議員にすらありません。招致委員会に補助されるという2億7000万円もの大金の使途について、調べたり検証するすべもありません。なぜなら、区長会は議事録すら残しておらず、その活動について各区の議会に報告したりその承認を得ることもなく、まして情報公開制度や住民監査の仕組みなどはそもそもないからです。
 区長たちは、いわば“勝手に”5億円ものお金をオリンピックのために受け取ろうと動き、そして“勝手に”そのうちの半分以上を各区以外の団体(招致委員会)に差し出すことにした。聞こえは悪いですが、しかし、こうとしか言いようのないことが行われたのです。

 こんなにおかしなことはない。いやしくも各区の区長がかかわりながら、こんなに不透明なお金の流れが許されてはならない。私は、そう思います。ことは、オリンピックの問題だけではありません。この問題を追う過程で、私は何とも言いようのない「事業」を区長会が続けてきたことを知りました。中国への“国際親善”旅行です。(続)

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