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「医師70人」を検証する ~光が丘病院はどうなるのか(その1)~ 

 12月20日のNHK「ゆうどきネットワーク」が、光が丘病院問題について詳しく報じました。その中で、こんなやりとりがありました。

レポーター:このほか、練馬区から具体的な数字の提示もありました。医師は70人、看護師は200人について確保のめどがついたということなんです。また、4月1日からこれまで同様救急患者の受け入れができる体制を整え、内科、外科、小児科の医師は常駐する予定だということです。
キャスター:これは今回わたしたちが取材してはじめて分かったことなんですね?
レポーター:はい、わたしたちに教えてくれたということです。

 「医師70人、看護師200人」。NHKの報道後、これと同じ数字を域医療振興協会の吉新理事長も口にしています。

現在までに医師70名以上、看護師200名以上の確保の目処が立っており、今後さらに多くの医師・看護師の確保を目指していきます。(練馬新聞1.1)

 4月から、光が丘病院は地域医療振興協会が運営する――練馬区がこうした方針を決定して以来、最大の関心事は、いったい4月からどんな病院になるのか、どんな体制で開院できるのかということでした。そして、病院の機能や体制の柱になるのは、やはり医師そして看護師の数です。しかし、どのくらいの医師や看護師が確保できるのか、確保できたのかについては、この間、議会でも住民説明会でも明確な数字は一度として示されてきませんでした。
 それが、NHKです。「私たちが取材してはじめて分かった」「私たちに教えてくれた」――NHKはこう言っています。もちろん、教えたのは練馬区です。しかし不思議な話です。なぜ、NHKだけ? なぜ議会では言わなかった? 議会に対してはいまだにまったく情報提供がありません。NHKの報道の前はもちろん、報道から2週間以上たった今になっても、区の所管課長やNHKの取材に答えている健康福祉事業本部長は一言の説明・報告にも来ません。不思議です。こういう情報の出し方って、あるんでしょうか…。

 とまれ「医師70人、看護師200人」という数字がいまや“公定”の説明として独り歩きしています。この数字を検証する責任が、私たちにはあります。
 私たち議会がこれまで受けてきた説明は次のようなものでした。

地域医療課長 公募要綱等では具体的な数字を定めてはございません。最低医療法上は40数人程度は必要ということでございますが、当然それでは十分な機能維持はできないと考えてございますので、それをはるかに超える、倍以上は必要だという風に考えてございます。9.27医療高齢者等特別委員会

 12月8日、医療高齢者区別委員会で、私はこんな質疑もしています。(録音から起こした未定稿で、正式な議事録では気ありません)

池尻 医療法上、最低必要な人数は確保なさったということを課長もおっしゃったし、説明会でも地域医療振興協会がおっしゃっているのですが、この40人程度のドクターについては常勤医ということでいいのか。
地域医療課長 常勤医でございます。
池尻 少なくとも40人の倍程度はドクターをそろえたいというお話だったのですが、…いつ頃までにこの倍程度のドクターを確保なさるのか、工程としてお考えなのか、お聞かせください。
課長 実際には、その倍程度ということで私どもも期待しているというか、考えております。少なくとも開設までには、この数字を出して頂きたいというか、お願いしたい。ただ、徐々に増えていって、私どもも最終的には100人を超えるドクターを用意して頂ければありがたいなと考えています。それは来年すぐにというわけではございませんけれども、今後、もっと地域医療のニーズにこたえるためにはドクターも増やして頂きたいということで、スタートした後は100人以上めざして、医師確保をお願いしたいと考えております

 議会で区が語ってきたのは、こうした見通しでした。つまり医療法が求める最低の人数、40人程度は確保した。「開設までには倍程度をお願いしたい」「最終的には100人を超えるドクターを」というものです。これに照らして考えると、「70人」という数字は、医療法の最低基準はクリアした、そして「100人」はともかく「倍程度」には近づきつつある、こんな評価になるでしょうか。もし「70人」という数字が本当にしっかりしたものであるのなら――「しっかり」というのは必ず確保できる人数であり、かつ専門科等もバランスよく確保できているのであれば、区が語ってきた約束を満たす見通しが立ちつつあるということもできます。区も協会も、実際にそうしたニュアンスでこの数字を持ち出しています。
 問題は、「70人」の中身です。いくつかの視点から、その中身を検証してみます。(続く)

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