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鳩山政権

 ブログでは、国政のことはあまり書かないようにしています。主体的に関われないし、一般的な評論では面白くないし…。でも、さすがに今日は触れないわけにはいきません。
 鳩山さんが退陣しました。首相の座について8か月、天から地へ、期待から失望へ、称讃から怨嗟へ。鳩山さん自身にとってもジェットコースターのような8カ月だったかもしれませんが、振り回され、裏切られた人々の心に容易には癒すことのできない傷を残した8か月でもありました。
 どうしてこうなったのか…「政権交代」の流れに棹差したいと、ささやかな力をこめてあの選挙に参加したものの一人として、考えるべきことはとても多く、重い。
 先の市民の声ねりま総会で、私は、鳩山政権の8カ月を振り返ってこんなお話をしました。

 昨年は、自民党を中心にして半世紀以上続いてきた日本の政権の枠組みが崩壊したという点で、戦後史を画する劇的な一年となった。この「政権交代」は、「コンクリートから人へ」という民主党のスローガンが象徴するように、一面では、社会的な格差と貧困の広がり、社会保障の崩壊、社会的な共感や連帯感の喪失、「少子化」や「環境破壊」に代表される未来への不安の中で、いのちと生活に立ち返ることを求める庶民の意志と選択の結果であった。
 「政権交代」はまた、国民に、主権者として、政治を揺さぶり変革していく力と可能性を再認識させたという点でも、きわめて大きな意義をもった。とりわけ沈黙と忍従を強いられ、社会的にも政治的にも痛いほどの無力感を味わされてきた一般市民、労働者にとって、「政権交代」が勇気と希望を取り戻すきっかけとなったことは間違いない。
 しかし、成立した鳩山政権の行方は混とんとしている。「事業仕分け」や在野の市民活動家の登用、障害当事者を交えた自立支援法の改革論議など、さまざまなチャンネルを通して国民を政治の舞台に引き入れ、そしてダムや道路、沖縄の基地問題、企業献金、天下り、高校の無償化やタブー視されていたテーマを議論と検証の俎上に載せたことは、しっかりと評価したい。しかし、俎上に乗せたものの、どうさばきどう調理するのか政権の意志は不鮮明さを増し、「政権交代」を支えた期待感は失望に変わりつつある。「政治と金」をめぐる政権の姿勢はあまりに潔さを欠き、外環道を含む新規道路事業が唐突に予算化されたことなど、民主党が古臭い利権政治にUターンしつつあるのではないかという疑念すら広がっている。

 そして、普天間です。普天間基地をめぐる鳩山さんの動きと発言は、彼の政治家としての資質に強い疑念を抱かせ、彼のめざす政治がそれまでの政権となんら変わらない思想の上にあることを明るみに出しという点で、決定的でした。
 もう遠い昔のように思えるあの選挙のとき、私たちは、小選挙区で民主党の候補者に投票を呼びかけながらも、「民主党は玉石混淆」と率直に語ってきました。それは、間違っていなかった。でも、もう少し光る「玉」があると思っていました。最近目立つのはくすんだ「石」ばかり。これでは、希望も夢も「友愛」も育ちません。
 新しい首相、新しい内閣は、違った意志と決意を見せてくれるでしょうか。

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