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予算議会が終わりました

昨日11日、練馬区議会の第1回定例会が終わりました。ちょうど5年前の3月11日も、区議会は最終日でした。共産党が提出した予算組み替え動議をめぐって議会は紛糾、会期を延長し、徹夜の挙句、終わったのは12日の昼前だったと思います。
地震が起きたとき、確か、予算特別委員会の理事会をやっていました。長い揺れ、なかなか終わらない揺れは、今思えば、地震のエネルギーの巨大さを教えていたんですね。
あれから5年、早い。忘れない。忘れられない。たくさんの宿題が、積み残しのままですから。

議会最終日、討論に立ちました。新年度予算に対する反対討論です。ちょっと異例な内容の討論になったかもしれませんが、まとめのご報告として、そのまま掲載します。長い議会、報告すべきことは他にもいろいろありますが、それはまた、改めて。


市民の声ねりまを代表し、2016年度一般会計、国民健康保険事業会計、介護保険会計、後期高齢者医療会計の各予算案に、反対の立場から討論を行います。

今日3月11日、東日本大震災からちょうど5年となります。あの日は、今日と同じ、区議会の最終日でしたが、予算審議が紛糾し、議会は徹夜となりました。激しい揺れ、そしてやがて、道路に広がる人の波。それから私たちは、すさまじい津波の被害、さらに重なった原発の深刻な事故に対する恐れと不安の中で、大変な日々を送ることになります。ここ東京でもそうだったのです。被災地の惨状は想像を絶します。

あれから5年。うつろいやすい時代の空気の中で、あの災害から、私たちは、何を学ぶべきであったか。あらためて考えます。

原子力村とも揶揄される、閉鎖的で保守的な原子力行政のあたかも対極に立つかのように、震災の中で、市民の「絆」の大切さが繰り返し語られました。人々がつながり、支えあうことから生まれる力を伝えるエピソードは、数え切れません。そして、「絆」は、対話と理解、寛容と共感を空気として育ち、自治の営みの中で初めて根付くものです。「絆」とは自治であり、それは、普遍的で、未来に向けた宿題です。
振り返って、練馬区の新年度予算です。議論を呼ぶ様々な政策課題もさりながら、私たちは、前川区長の区政運営の基本姿勢、いわば前川流ともいうべき行政手法に強い違和感を感じています。
区長は、区民は主権者だという実感をお持ちでしょうか。区長のもとに駆け寄り、あれこれの企画やイベントに参加してくる区民は歓迎されます。しかし、区民によって律せられ、あるいは批判の俎上に載せられることを、区長は決して良しとはしません。区長には、区民への敬意、対話と理解を求める謙虚さが足りない。そうした印象を持つ方が少なくないことを、私たちは深く憂えます。
人々の絆を回復し作り出していく道は、区民の声に謙虚に耳を傾け、格差や差別、無理解や偏見に引き裂かれた社会と、真剣に向き合う努力抜きにはありえません。しかし、保育所の入園不承諾の通知を前に途方に暮れる若い親たちに、区は、どれほどの共感を向けているか。認知症の夫や妻を抱え、日々の暮らしに疲れ果てる高齢者の心の声に、どれほど耳を傾けているか。啄木ではないけれど、「はたらけど はたらけど…」と胸をふさぐ、非正規雇用の若者たちの嘆きを、どこまで知っているのか。
うわついた「広報戦略」やこじゃれたキャッチフレーズが飛び交い、道路本位、開発型のまちづくりが「発想の転換」とまでもてはやされる一方で、区民との心を開いた対話は乏しく、生きづらさを抱える人、孤立した人々への共感と理解は後退しています。こうした区政では、自治は根付かず、本当の絆を育てることはできないでしょう。
トップマネジメントを強く意識する前川区長にとって、区民は区政の真の同伴者ではないのかもしれません。新たな特別参与の設置を知り、改めてそう思います。
2人の参与に加え、今度は特別参与。議員ですら顔も見えない、声も聞こえない人たちが、区長の判断や意思形成に深く関与していくことは、間違いなく、区政の透明性や公開性を後退させるものです。
もし、専門的な識見を求めるのであれば、きちんと付属機関を立て、その中でご意見を仰げばよい。それとも、参与や特別参与の行政経歴や人脈に期待しているのか。確かに、現実政治の世界では、そうした独特な縁故の力が、ときにものをいうのかもしれません。しかし、それは、行政の本来の姿でないというだけでなく、上級機関との人脈に頼る姿は、練馬区の自治のあり方を深くゆがめるものです。
かつて、区長の公選が認められず、都知事の同意なしには何事も進まなかった時代、われわれ練馬区議会の先輩たちは、時に区長に不信任を突き付け、議会を挙げて、区民とともに、公選制の復活と自治権の確立を求める果敢な戦いを繰り広げました。みずからの力で立つ。練馬区議会の中で、自治の気概や気風が、最もしばしば語られた時期でもあります。
今、区長が、まさに「取り巻き」というべき人々と区政を進めようとしているときに、それを良しとする議論が、議会の中からさえ出ていることに、私は隔世の感を覚えます。練馬の自治の再生こそが急務であることを強く訴えて、討論を終わります。

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