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やっぱり憲法に触れてませんか? ~練馬区地域集会施設の団体登録制限(その2)~

 私は、単刀直入に、問題の団体登録要件は「公の施設の平等利用の原則、さらには政治活動の自由及び信教の自由を含む思想信条の自由を定めた憲法の規定に抵触するものではないか」とも問うています。これについては、こんな回答でした。

「練馬区地域集会施設団体登録要綱の要件につきましては、条例の設置目的から地域住民について優先的な予約や使用料の減額を規定したものであり、登録団体でなくても施設の利用は可能です。このため、憲法の規定に適合しています。」

 筋の悪い、言い逃れのような回答です。「このため」という接続詞の、なんとも怪しいこと…。登録団体になれるかどうかという点で、施設の公平利用の原則や憲法上の規定に反していないかと聞いているのに、登録団体でなくても利用できるからいいでしょう? と。これでは答えになっていません。
 団体登録における“差別”は不当であるという私の指摘に対して、区は、①「条例の設置目的」にもとづいて行っているものであること、②施設の利用自体は可能、だから憲法には触れないと言います。①条例を見てみましょう。例えば地域集会所条例は、こうなっています。

(目的)第1条 この条例は、練馬区立地域集会所(以下「集会所」という。)の設置、管理および利用について必要な事項を定めることにより、地域住民の相互交流および自主的活動の場を提供し、もって区民生活の向上に寄与することを目的とする。

 ここには、「政治上の主義および宗教の教義を推進し、支持し、またはこれに反対することを主な目的とする団体」がこの目的に合致しないなどとはまったく書かれていません。そう判断したのは、条例ではなく、条例を独自に解釈した練馬区です。どんな根拠に基づいてこの制限を置いたのか?と問うても、区は、要綱だとしか答えられません。しかし、要綱はあくまで区が事務執行上定めた内規でしかありません。「行政活動の取扱い基準や行政の運営の指針とするために長等が定める行政内規の一種」「長等がある事項について行政運営を行うための一般的な基準として内部に定めたもの」です(練馬区要綱集)。たんなる「内規」でしかないもので、区民の政治活動を不当に制限することは許されません。地域団体登録の要件を定めた要綱は、それ自体が憲法だけでなく、条例そのものの拡大解釈、不当な解釈を行っているとさえ言えると、私は考えます。
 ②の方は、まさに噴飯ものの回答です。地域登録団体になれなくても、一般利用は可能だ。制限されるのは利用自体ではなく、「優先的な利用や使用料の減額」だけだ。区は、こう言います。
 地域集会施設を利用した人なら、優先利用や利用料減免を受けられないということが施設利用の実質的な制限や差別につながることは実感として知っています。3か月前から予約できるのか、それとも2か月前からなのか。利用料が半分になるのか。大きな違いです。形式的で些細な格差、制限、差別などと言えるものではありません。そして、それは憲法に触れませんか? と、私は聞いたのです。
 誤解のないように一つ付け加えておきます。地域集会施設の団体登録要件は、二重になっています。まずは、その団体の趣旨や性格に関わる要件。政治や宗教に関わる規定を置いているのは、この部分です。そしてもう一つ、それらの要件に加えて次の3つのいずれの条件も満たすことを求めています。

(要綱第3条)⑴ 別表に規定する地域集会施設の住所要件に、団体の構成員の5割以上が在住、在勤、または在学をしていること。⑵ 団体の活動場所が、前号の要件を満たす地域集会施設であること。⑶ 他の地域集会施設の地域登録団体でないこと。

 これらは、いわば団体の“地域性”に関わる要件です。つまり、政治や宗教に関わる団体であっても、当然にそれらの構成員の半数以上が当該の地域に住むことなどの条件はかかっています。ですから、あくまで問題はどんな性格の団体なら登録できるかという問題であって、その地域で活動している住民主体の団体であるかどうかではありません。繰り返しますが、問題は、「政治」や「宗教」は、条例が施設の目的として定める「地域住民の相互交流及び自主的活動」には含まれないのかということです。(続く)

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