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「視察」、終了

10月11月は、区議会の視察の時期です。
区議会には、5つの常任委員会と4つの特別委員会が通年で置かれています。議員全員が、一つの常任委員会と一つの特別委員会に所属します。この9つの委員会が、10月から11月にかけて一斉に行政視察に出かけます。
視察には、議員が個人または会派として行くものもありますが、ここでいう行政視察は委員会として、つまり議会の公式の活動として行う視察です。視察に係る経費を賄うために、条例・予算に基づいて税金が支出され、議会事務局の職員が視察の企画・準備にあたり、視察そのものにも議会事務局に加えて理事者(区の管理職)も同行します。
私が所属する委員会――健康福祉委員会と医療高齢者等特別委員会の今年の視察は、こんな内容でした。
健康福祉委員会
・10月24日~25日
・美唄市 受動喫煙防止条例について
・札幌市 子ども発達支援総合センター「ちくたく」について
医療高齢者等特別委員会
・11月9日~10日
・塩竈市 塩竈市立病院に置ける地域包括ケアの取り組みついて (写真)
・仙台市 介護予防自主グループ支援事業について

いずれの視察も、視察先ではそれぞれの自治体の担当者がまとまった説明をしてくださり、視察先によっては座学だけでなく施設の見学等が入ることもあます。今回で言えば、札幌と塩竈は、それぞれの施設を見させてもらいました。いずれにしても、「視察」名目で観光地巡りをしているということはさすがにありません。
実際に現地を訪ね、そこの担当者の方とやりとりをしてみると、学ぶことはいろいろあります。また、どんな行政施策も、その地その地の個性、それぞれの歴史的経緯や環境に大なり小なり規定されており、現地に行けばそうした背景について実感することができるのも事実です。そもそも、土地柄も行政の姿勢やつくりも、その地その地で様々に違っており、新鮮な発見は常にあるものですし、そうした発見を通して、広い意味では議員としての見識や知見を豊かにできているということは言えるでしょう。
他方で、事情も背景も異なる中での取り組みを知ることが、どのくらい直接にこの練馬での施策や事業に生かせるものなのか、難しいところがあるということも実感します。環境も人口も、産業も財政規模も大きく異なる地を訪ねれば訪ねるほど、新鮮な印象とは裏腹に、練馬の区政にどう生かしていくかがあいまいになってしまいます。また、1か所せいぜい2時間程度の駆け足の視察ですから、どのくらい深く調査・学習ができたかとなると、心もとない思いがするのも事実です。
行けば行ったで、意味はある。しかし、行くためには、議会事務局には大変な負担がかかりますし、財政的にも少なくない税金が投入されます。日程的にも、9月議会から11月議会までのわずかな期間に2度の視察を詰め込むのは、なかなか難儀です。
視点や考え方も異なる議員が委員会として一緒に行く視察でなくても、会派ごとに、しっかりした目的意識と独自の視点で視察を組むというやり方もあります。こうした点も考え合わせると、今のような委員会としての行政視察がどの程度効果的で、また優先度が高い取り組みかについては、しっかり検証する必要があるというのが、私の基本的な認識です。

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