Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

としまえん跡の『覚書』

としまえん廃園を受け、ハリー・ポッター施設の話がどんどん進んでいますが、本来は、としまえん跡地全域は都立練馬城址公園として優先的に整備されることになっている場所です。いったいどんな経緯と条件のもとに、「ハリー・ポッター」はやってくるのか? そのことを考える際に欠かせない前提となる『覚書』の全文を掲載します。

都市計画練馬城址公園の整備にかかる覚書

 東京都(以下「甲」という。)、練馬区(以下「乙」という。)、西武鉄道株式会社(以下「丙」という。)、ワーナーブラザース ジャパン合同会社(以下「丁」という。)及び伊藤忠商事株式会社(以下「戊」という。)は、東京都市計画公園第5・5・10号練馬城址公園(以下「練馬城址公園」という。)の整備について、相互に連携、協力して推進するため、次の通り覚書(以下「本覚書」という。)を締結する。
 (目的)
第1条 本覚書は、緑と水、広域防災拠点及びにぎわいの機能を備えた練馬城址公園の実現を目標に、甲、乙、丙、丁及び戊(以下「関係者」という。)が以下の通り相互に連携、協力し、練馬城址公園の整備と適切な利用を進めることを目的とする。
2 関係者が、自らの権利やその行使などについて、他者(以下「追加的関係者」という。)に譲渡、賃貸及び委任などを行う場合には、予め他の関係者と協議し、その承認を得るものとする(当該承認を不当に保留又は遅延しないものとする。)。なお、関係者は追加的関係者に対し、本覚書の内容について承継し、遵守させなければならない。
 (対象区域)
第2条 本覚書の対象区域は、別紙(第6条第1項に定めるスタジオツアー施設等の位置の特定を含む。)のとおりとする。
 (関係者の責務)
第3条 関係者は、第2条に定める対象区域において、東京都が策定する練馬城址公園の整備計画(東京都が、都立公園に導入する機能や施設の配置等を定めるため、東京都公園審議会からの答申に基づき策定する計画。以下同じ。)に基づき、第1条に定める目的を実現するため、誠意を持って相互に協力する。
 (練馬城址公園に求められる機能)
第4条 第1条に定める各機能に関する基本目標は、以下のとおりとする。
 A 緑と水
    ア 都民に憩いの場などを提供するための緑の空間の創出
    イ 石神井川などを生かした快適な水辺空間の創出
 B 広域防災拠点
    ア 災害発生時に避難場所や災害時臨時離着陸場候補地となる広場と必要とな
      る防災施設の確保
    イ 周辺地域から練馬城址公園を東西方向、また南北方向に避難出来る園路
      の確保(ただし、第6条第1項に定める開発事業区域における南北方向の通行については緊急時に適用する。)
C にぎわい
    ア 地域との連携により、多様な交流活動などが行われ活気をもたらす空間の
      創出
    イ 来園者が憩うことが出来る便益施設の整備
 (練馬城址公園整備の工程)
第5条 甲は、整備計画の策定において、乙の意見を十分に聞くものとし、整備計画策定後には、速やかに整備を進めていくものとする。
2 甲は整備計画に基づき、他の関係者と協議の上、段階的に整備を進めることとし、他の関係者はこれに協力する。
 (スタジオツアー施設等)
第6条 前条の段階的な公園整備のプロセスに合わせて、丙、丁及び戊は、対象区域の未開園部分のうち、関係者間で合意する区域(以下「開発事業区域」という。)において、スタジオツアー施設等(スタジオツアービルディング、駐車場及び外部からの到着エリアを含む。以下同じ。)の整備に向けた協議を行う。なお、スタジオツアー施設等の位置は、別紙の計画のとおりとする。
2 丙、丁及び戊は、開発事業区域において、この覚書の締結以降、他の関係者と誠実に協力して前項に定める取組を行う際、第4条に定める機能の実現の一翼を担うことに配慮する。
3 スタジオツアー施設等の設置可能期間(以下「設置可能期間」という。)は、運営開始日からの30年間とする。なお、丙、丁及び戊から設置可能期間の変更について申し出があった場合は、その他の関係者は協議に応じるものとする。
4 甲は、設置可能期間満了後の開発事業区域について、練馬城址公園の整備を行う優先的な地位を関係者間において留保する。
 (環境への配慮)
第7条 甲、丙、丁及び戊は、乙の協力の下、関係法令に基づき、周辺住民への説明を行うとともに、周辺の住環境に配慮して整備及び運営を行うものとする。
 (その他)
第8条 本覚書に定めのない事項又は本覚書に疑義が生じた場合、新たな追加・変更事項が生じた場合、状況が変化した場合は、関係者はその都度誠実に協議するものとする。万一、丙丁戊間の協議の不調等、やむを得ない理由により本覚書を終了せざるをえない場合には、関係者は互いに損害賠償等の責任を負わないものとする。

第6条にいう「関係者間で合意する区域」がどのように定められているのかいないのか、確認できていません。これが第2条にある「別紙」のことだとしたら、区域の合意は極めてあいまいかつ不正確に表現されているとしか言いようがありません。「別紙」にあるのは、以前にも紹介したこの図です。

少なくともこの図で見る限り、ピンクでぼんやりと網がかかっている部分は今回、事業者が公けにした開発区域よりもずっと狭くなっています。この違いは、決して小さくはありません。いったい都(そして練馬区)は、どのエリアで「合意」したのか? この説明を聞くところから、まずは議論を始めてみたいですね。

コメント

  1. 平岩利文 より:

    としまえんの西側、春日町5丁目に住んでいる者です。
    基本的な疑問のみお伝えしておきたいと思います。

    としまえん跡地は「広域防災拠点」としての機能を有する練馬城址公園を整備するのですよね?(覚書1条、4条B)
    しかしながら、としまえん跡地のうち石神井川北側のほとんどはスタジオ・ツアーの開発事業区域としてワーナーBro.Japan(合)さんに30年間賃貸されるわけで、残ったとしまえん跡地の区域は10~12ha程度(池尻先生のブログによれば石神井公園の半分、光が丘公園の6分の1)。

    ここで根本的な疑問です。
    今後30年以内に震度6弱以上の地震が起こる確率は東京だと46%~48%程度だったはずです。
    https://biz-journal.jp/2019/09/post_116324.html

    広域防災拠点としての利用が想定される確率が高い直近30年間に、せっかくのとしまえん跡地の半分以上をスタジオ・ツアーに貸し出してしまい、ダイレクトに広域防災拠点の「公園」として使用できる面積は光が丘公園の6分の1って、何か本末転倒ではありませんか?

    覚書6条2項にはワーナーBro.Japan(合)さんも西武鉄道㈱さんも伊藤忠商事㈱さんも「4条に定める機能の実現の一翼を担うことに配慮する」とありますが、30年間利用可能な堅固建物(スタジオや付属設備)を建ててしまって、いざ、大地震等が発生して広域防災拠点としての利用が不可避になった場合、スタジオ・ツアーの施設はどのように「広域防災拠点」機能の実現の一翼を担うのか、その具体的な計画や設備、運用方法などは存在しているのでしょうか?

    関係企業が営利を追求することは否定しませんが、東京都と練馬区は営利の追求より先に都民・区民の生活の安全を確保すべき義務があります。
    その義務の履行をおろそかにして、ワーナーBro.Japan(合)さん、西武鉄道㈱さん、伊藤忠商事㈱さんの主導で広域防災拠点機能を形骸化させた名ばかりの練馬城址公園計画を進めるのは勘弁してほしいです。

    これでは94年間、みんなに愛されてきたとしまえんも浮かばれないと思います。

  2. ikejiriseiji2 より:

    平岩様、的確なコメントありがとうございました。3.11の教訓から始まった「練馬城址公園」の整備が、どんどん矮小化されている印象がぬぐえません。少なくとも、これだけ大きな施設で空地を削り取れば現状よりも防災面での機能が落ちるなどという本末転倒の事態になりかねません。おかしなことです。

  3. ちゃ はん より:

    はじめまして。向山地区に住むものです。我が家は、としまえんプールの丁度裏手にあり、今回のハリーポッター建設には疑問ばかりが上がります。
    そもそも、としまえん跡地は防災公園として、としまえんの風情を残しつつ開発していくという話だったように思います。
    またハリーポッター建設については、私の認識不足かもしれませんが事前に周辺住民にも知らされず降って湧いたような話でした。
    練馬区の緑と水の豊かな土地を利用し、防災の観点からもまた、経営等の問題からもとしまえんの閉園は致し方ないと思っておりましたが、これではあまりにも住民の意見を蔑ろにされているような気持ちになります。
    是非公園の、機能をしっかりと保ち、区民の意見を反映していただける開発を望みます。

    • ikejiriseiji2 より:

      ちゃはん様
      ご意見、まったく同感です。としまえん閉園を強く惜しみつつも受け入れる思いが地域にあったとしたら、それは、あとにできる公園が地域のために欠かすことのできない、魅力的な、そしてとしまえんの思い出を大切に継承できる場になると期待したからだと思います。この点では、今示されている計画は、間違いなく「降って湧いたような」唐突で乱暴な話であると私も感じます。ご意見、しっかり受け止めさせ頂きました。
      すぐご近所とのこと、ぜひ説明会や議会なども活用してじかに声を上げることもご検討頂ければと思います。
      池尻成二