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“待遇改善”の陰で ~「非正規」公務員の制度改正(下)~

会計年度任用職員制度の導入は、主旨としては、自治体現場に無秩序なまでに広がっていた非常勤・臨時職員の任用についての整理をすること、そして正規と非正規の間の大きな待遇格差を是正し“均等待遇”を図ることをその目的としていました。しかし、実際には、非正規雇用に大きく依存した自治体現場の状況は手つかずのままであり、正規化の動きは見えません。
一方、非正規雇用の待遇や身分という点ではどうでしょうか。下の表は、練馬区が取りまとめたものです。

待遇の面では、一定程度の改善が図られました。象徴的なのは、期末手当の支給です。しかし半面、正規職員同様に処分や人事評価の対象となる、団体交渉や団体行動の権利が制約されるなど、その地位や権利に大きな変更、制限が加わることになります。何より問題なのは、会計年度任用職員への移行と合わせて年度ごとの雇用管理が厳しく求められることになり、「再度任用」つまり年度を超えた雇用の更新が厳しく制限されることで、事実上「雇止め」が公認されるということです。
現在、練馬区の非常勤職員で再度任用の回数について特段の制限を設けていない職はたくさんあります。たとえば
・心理教育相談員 40人
・図書館専門員 41人
・保育補佐員 75人
・保育補助員 500人
などです。もう何年も何年も、中には20年を超えて区の仕事を支えてきた人であっても、こうした職の人たちは5年後には改めて公募に応じなければならなくなります。厳しいハードルが置かれたことになります。

会計年度任用職員制度を導入した地方公務員法等の改正案の審議の際には、労働者に「不利益が生じない」ように求める附帯決議も上げられています。しかし、実際にはこの再度任用制限などは、明らかに身分上雇用上の不利益になるものです。正規職員とともに区政を担ってきた人たちに正規職員への道を開くことは、現実的でとても切実な課題であったはずですであり、容認しがたいことです。

区議会では、会計年度任用職員制度導入のための議案に対する賛否は別れました。委員会の採決では、共産党と私たち・市民の声ねりまが反対しました。長く非正規雇用の問題に関わってきた者として、課題を多く積み残したままでの制度移行に賛成することはできません。

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