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そもそも、「交通」にとっては? ~156号線説明会から~

10月11日、13日に開催された都市計画道路補助156号線の説明会。いちばん驚いたいのは、交通ネットワーク上、この道路がどのような意義とどの程度の効果を持っているかということについて、具体的で根拠のある説明がなかなか聞けなかったことです。

この156号線は、今回の説明の対象となった区間(東大泉4丁目~西大泉・西東京市境)の東側はいわゆる大泉街道になります。大泉街道は、下屋敷付近の外環の2予定地から大泉学園通りまではほぼ整備が終わっています。そのさらに東側、目白通り~下屋敷間は「概成」つまり計画幅員の6割程度が確保できている段階で、第四次事業化計画では優先整備路線に挙げられていますが、片側1車線・双方向の道路として現に利用されています。他方、今回の対象区間の西側は「西東京3・4・13号線」と言い、練馬区境まで整備済みです。そこで、「西と東で現にできている道路が今回の区間だけつながっていない。これをつなぐのは当然のこと」といった考え方が出てきます。ネットワークの一部だけが抜けている区間を“ミッシング・リンク”と言ったりしますが、ここもそのひとつ、ということになります。

確かに、当該の区間をつなぐことでネットワークの効果や利便性が高まることは容易に理解できることです。自動車交通という点では、まっすぐな道ができれば便利になることは明らかです。問題は、それがどのくらい意義あることで、そのためにどの程度のコストやデメリットが生ずるかということを、できる限り公正・客観的に評価することです。
たとえば、156号線のこの区間が欠けていたら道路ネットワークとしてそもそも成立しなくなるかというと、実はそうではありません。都市計画道路に限っても、おおむね1kmごとのメッシュで縦横に線が引かれ、整備が進んでいます。とくに156号線は、東端が目白通り(高野台5丁目付近)です。西東京市内からこの地点へのアクセスという点では
①西東京3・4・13号線→156号線→大泉街道→目白通り(放射7号)
という今回の整備区間を通る経路のほかに
②西東京3・4・13号線→伏見通り→放射7号(目白通り)

という経路も取ることができます。

156周辺の道路ネットワークをイメージ図にしてみました。距離から見れば、②の経路は500mほど回り道になるでしょうか。整備された幹線街路でもあり、自動車交通という点では小さな距離です。しかも、この地域の最重要の交通結節点となる外環の出入り口は目白通り沿いにあります。大泉街道から直接に入ることはできません。外環とのアクセスという点では、②の方がむしろ合理的とさえ言えるかもしれません。

広域的な道路交通ネットワークという点では、実は、156号線の今回の区間の意義は限定的です。説明会では、「放射7号が完成したのちにあらためて必要性を検証したらどうか」という意見も出されていました。156の新たな整備で受け止めようとしている交通ニーズは、放射7号で十分に対応できるものではないか。この問いはとても大切なものです。
もちろん、放射7号に大量の車が入ることが予想されるならば、そして156の新たな整備区間でも車の交通量が大きくなるのなら、放7も156も必要——こういう結論になることだって十分にあり得ます。こうした問題意識を深めるためには、放7や156などの交通量の推計が欠かすことができません。

説明会では、「道路が出来たらどのくらいの車が通るのか」という質問も出されました。これもまたしごく当然の質問ですが、これに対して四建は「事業化に向けてあらためての推計はしていない。第四次事業化計画策定時点に推計したのみ」と答えました。なんとも情けない回答でした。(つづく)

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