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“としまえん”、どうする? ~動き出す「練馬城址公園」~

練馬区民にはなじみの遊園地「としまえん」が、8月いっぱいで閉園となります。開園は1925年とのと。まもなく100年になろうかというところでの閉園です。プール、花火、回転木馬、成人式…いろんな思い出が幾重にも重なった遊園地なんですね。閉園を惜しむ声が、たくさん届いています。

閉園の直接のきっかけは、東京都がこの場所に『練馬城址公園』を整備することになったからです。実は、としまえんのある場所は、公園を整備する都市計画がかかっている区域の中にあります。

上の図の赤い線が都市計画のエリア。一部、民間の住宅地になっているところがありますが、石神井川をはさんで大半は遊園地になっています。都市計画区域は全体で26.66ha、そのうち約22haをとしまえんが占めます。

都市計画が決まったのは1957年。もう60年以上前になりますが、都市計画が決まっても直ちに公園になるというものではなく、計画があるだけでそのまま遊園地が続いてきました。事態が動き出したのは、2011年の東日本大震災で防災の体制づくりが大きな課題として意識されるようになってからです。同年末、東京都は『都市計画公園・緑地の整備方針(改定)』でこの場所を「優先的に整備すべき区域」にしています。公園整備の主要なコンセプトは「防災」でした。都は、練馬城址公園を広域防災拠点として位置づけることを考えており、「震災時の避難場所や災害時臨時離着陸場候補地となる広場と防災施設の確保」などを検討するとしています。

都は、今年に入って練馬城址公園の整備に着手する意向を公表、その後、都や区、西武鉄道などの協議が続いてきたようてすが、それがここに来てまとまり、節目になる『覚書』が締結されたのが6月12日です。覚書に参加したのは、東京都、練馬区、西武鉄道、伊藤忠商事、そしてワーナーブラザーズジャパン合同会社の5者。西武鉄道は現在のとしまえんの土地の所有者ですから、練馬城址公園の整備にあたって当事者の一人であることは間違いありません。しかし、では伊藤忠とワーナーブラザーズは?
実は、この2者が加わったことが今回の『覚書』の核心なのです。『覚書』は「緑と水、広域防災拠点及びにぎわいの機能を備えた練馬城址公園の実現を目標に、相互に連携、協力し、本公園の整備と適切な利用を進める」ことを目的としてうたっていますが、一方で、公園整備を「段階的に進める」とし、未開園部分での「スタジオツァー施設」の整備を行うことを確認しています。このスタジオツァー施設は「ハリー・ポッター」をテーマにしたものになると言われていますが、その整備と運営に当たるのが伊藤忠商事とワーナーブラザーズというわけです。スタジオツァー施設の設置可能期間はなんと30年。つまり、公園の優先整備区域に含まれている土地の一部を、30年にわたって公園にしないでおくということを約束し、その場所に「ハリーポッターのスタジオ・ツァー」をつくることで合意をした。これが、覚書の内容なのです。
『覚書』とあわせて、「スタジオ・ツァー」の位置を示す図も公開されています。下の図です。このなかのピンク色に網がかかっている部分が、スタジオ・ツァー施設の予定地ということです。石神井川の北側、現在、遊園地の遊戯施設がある一体ということになります。としまえん全体の4分の1近くにはなりそうな広さです。

覚書の締結を受けて、都は、公園審議会に整備計画を諮問し、審議が始まっています。今のところ来年1月には中間まとめの提示、そしてパブリックコメントと進み、5月には答申、都としての整備計画の決定という流れが示されています。最終的に事業としてどのようなペースで動いていくかは不確定なところもありそうですが、前提となる整備計画の確定まではもう1年もありません。時間は、限られています。整理をしたい論点を思いつくままに挙げてみます。

  • 公園の中核的なエリアの整備を遠い将来に先送りし、しかも閉園するとしまえんに代わる民間のスタジオツァー施設を認めることの是非
  • 柱となる防災機能として、何をどう盛り込むのか
  • 現在のとしまえんの何を残すか、残さないか。カルーセル・エルドラド(回転木馬)は? 人気の高いプールは?
  • 区域内を流れる石神井川の整備と、川と一体となった緑のコンセプトをどう描くか
  • 区議会でもしばしば議論になってきた総合体育館の移転改築は可能か。関連して、これまで成人式などに大規模な会場施設を提供してきた機能をどう確保していくのか
  • 公園整備と事実上、一体のものとして進められることになる都市計画道路133号線の効果と影響
  • 地元・練馬区、練馬区議会、練馬区民の意向や希望をどのように受け止め、反映していくのか

こんなところでしょうか。区民、区議会の力の見せどころです。

コメント

  1. ねぎくま より:

    是非小規模でも良いのでとしまえん遊園地が感じられる場所と、プールは残して欲しい!
    防災公園と言いながらそのほとんどが、ハリポタとか納得がいきません。としまえんが良いです。

    整備するのであれば、今は眺めるしかできない石神井川で川遊びが出来るとより嬉しいです。

    • ikejiriseiji2 より:

      ねぎくまさん、コメントありがとうございます。としまえん遊園地が「感じられる場所」、プール、そして川遊び。みな大賛成です。そして、決して突拍子もない願いでもないと思います。今のハリポ計画では、石神井川の親水護岸など造りようがない。ぜひ区議会にも声を上げてください。