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青梅街道インターチェンジに“赤信号” ~外環自動車道の「再評価」始まる③~

外環道事業は、深刻な隘路に立っている。そう、書きました。いちばんの理由は、事業の意義や効果を確認するはずの費用対便益(B/C)が「1」にまで落ち込んでしまった、いや、今後さらに落ちる可能性が高くなったということです。これは、事業自体の正当性に関わる問題です。しかし、それだけではありません。2兆2千億円にまで急増した事業費をだれが、どう負担するのか。これもまた、きわめて深刻な問題にならざるを得ません。

もともと外環道のこの区間は、かつての有料道路事業方式と直轄事業方式を組み合わせた(折衷した)「合併施行方式」を取ってきました。一つの道路整備事業をいくつかに区分、ここは国の直轄で、ここは有料道路事業の方式でと区分し、直轄部分は税金で、有料道路事業部分は最終的には高速道路の利用料金で負担するというものです。
外環(関越~東名)区間で言うと、事業開始当初は①舗装や道路設備工事、②既存の高速道路と一体になる東名Jctと関越Jctの本体工事部分は有料道路事業でという整理でした。これを前提に、国と有料道路会社、具体的にはNEXCO東日本とNEXCO中日本それぞれの負担額については、国会でこんな説明がされています。

「深澤政府参考人 東京外環事業、関越—東名間につきましては、当初、全体事業費は1兆2820億円、そのうち、直轄事業費は1兆357億円、有料事業費は2463億円であったところです。現在のところ、全体で1兆3731億円と見込んでおり、そのうち、直轄事業費は変更はありませんが、有料事業費は3374億円を見込んでおります。以上です。」
2015年3月1日 衆議院予算委員会

その後、この負担区分は少なくとも5度にわたって見直されています。なし崩しに、という印象を受けざるを得ないようなたびたびの見直しです。2016年の再評価で総事業費が1兆6000億円近くに跳ね上がりましたが、その時点での国とNEXCOの負担額は当初から大きく変わり、国の方がむしろ少なくなっています。宮本哲議員の質問主意書に対する答弁書では、こう書かれています。

「…東京外かく環状道路のうち東京都練馬区から同都世田谷区までの区間(以下「東京外環(関越~東名)」という。)の現時点における全体事業費は1兆5975億円である。
東京外環(関越~東名)に係る国土交通省、東日本高速道路株式会社及び中日本高速道路株式会社の工事の施行に関しては、日常的なメンテナンスが必要な舗装工事や設備工事、既に開通している高速自動車国道に接続する箇所に係る工事等についてはこれらの各社が施行し、その他の工事は同省が施行することとしている。
東京外環(関越~東名)の事業に要する費用は、同省が約7409億円、東日本高速道路株式会社及び中日本高速道路株式会社が約8566億円を負担することとしている。」
2017年2月1日 衆議院議員宮本徹君提出東京外かく環状道路に関する再質問に対する答弁書

わずか数年の間に、なぜこれほどまでに負担額や負担区分を変更できるのか、その根拠は何なのか。表面的に税負担が減っても、例えば長期の債務保証や補助金等で有料道路会社に間接的に税金を投入するだけに終わるということはないのか。 国の責任ある説明がなされたとも思えず大いに気になるところですが、いずれにしても最終的には税か利用料金で兆という単位の事業費を埋め合わせるしかないことは間違いありません。政治的には、税負担を減らすことは大きな課題であり続けています。他方で、有料道路事業に移せば、それは結局は利用料金の引き上げによって回収するしかなく、もし料金を際限なく引き上げていけば、それは外環の利用を抑制し、外環事業の意義自体を減じていくことになりかねません。

今回の再評価で、事業費は7,000億円近くも急増しています。これを、だれが負担し支弁するのか。国なのか、NEXCOなのか? 税負担の2割を義務的に引き受けなければならない東京都は、できる限り有料道路事業を使ってと注文を付けていますが、都の思惑通りに進むとはどうも思えません。有料道路事業として成り立つのかどうかも含め、検証を迫られるほどの事業費増です。

費用対便益「1.01」をどうするのか。そして、激増する事業をどうするか。この二つにしっかりと答えを出していかない限り、外環道事業の継続はあり得ません。事業計画の精査・整理、見直しは不可避です。とりわけ焦点の一つが、青梅街道インターチェンジです。
もともと最初に外環を地下方式で整備する方針を打ち出した際、国の示した案は「ノー・インターチェンジ」方式でした。その後、地元自治体等との調整を経て東八通りと目白通り、そして青梅街道の3カ所にインターを設置することになります。しかし、このうち東八通りと目白通りはそれぞれ高速道路とのジャンクションとの一体整備であるのに対して、青梅街道はインターのみの設置であった上に、杉並区がインター不要の立場に立つ中、練馬方面だけのハーフ・インターになってしまい、交通機能上の便益が大きく制限されてしまいました。さらに、青梅街道インター予定地の地元では町会ぐるみの反対運動が拡大、現在も事業認可取り消し等を求める訴訟が継続しています。インター設置の必要性、必然性が限定され、加えて大規模な反対運動に直面し、遅れに遅れている外環道事業の中でも、青梅街道インターは全くと言ってよいほど手付かずのままになっているのが現状です。そのことは、国も都もよくわかっています。

7月、1年半ぶりに東京外かく環状道路(関越~東名)事業連絡調整会議が開催されました。国、都、NEXCOが「東京外かく環状道路(関越~東名)事業の現状と課題について情報共有・意見交換・方針確認し、関係機関の相互協力のもと事業の推進を図ることを目的として開催する」もので、今回が8回目になります。連絡会議では、毎回、用地買収の進捗状況が取りまとめて報告されていますが、今回の報告でも、青梅街道インターの遅々として進まぬ状況は隠しおおせようのないものになっています。用地取得についてまとめた表がこちらです。

国が公表した会議の概要( こちら )には、こんな記載があります。

国土交通省関東地方整備局、東京都、東日本高速道路(株)関東支社及び中日本高速道路(株)東京支社の4者は、今回の事業連絡調整会議において下記の事項を確認した。
1.用地について
・H30.12~R2.6の19ヶ月間で、面積ベースでの全体の用地進捗率が9割を超え、残件数が78件減るなど着実な進捗がみられるが、未だ用地全体で残件が280件あること。
・区分地上権取得部の用地進捗率は84 %、残件が 186件あり、厳しい状況であること。

用地買収と区分地上権取得の残件数280件のうち214件、76%が青梅街道インターエリアです。面積ベースで用地買収の状況を見ると、他の箇所がすべて99%であるのに対し、青梅街道インターでは3割に届いていないのです。まさに「厳しい状況」とは、青梅街道インターのことです。

この青梅街道インター設置のための追加事業費は、かつて1000億円と説明されていました。しかし、中央ジャンクション部の例を見れば、同様に地中拡幅部が必要な青梅街道インターの事業費は間違いなく大幅に増えるでしょう。青梅街道インターは、事業の進捗という点からも、事業費の面からも、さらには便益への貢献が薄く費用対便益を押し下げているという点からも、外環道事業のこれからを考える際には真っ先にメスを入れられるべき部分として鮮明に浮かび上がりつつあります。

今回の事業再評価では、青梅街道インターチェンジについては全くと言ってよいほど記載がありません。書くべきことがないほどに滞っているということでもあるのでしょうが、この場所が外環が直面する深刻な隘路の中でもとりわけ深刻な、まさに立往生しかねない隘路であることを問わず語りに表しているのかもしれません。青梅街道インター計画の撤回は、私が議員活動の当初から掲げ続けている要求です。国、都が次にどう動くのか。注目しています。

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