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駅前に超高層のビルの“壁” ~石神井「再開発」計画~

石神井公園駅南口西地区の「再開発」計画については、このブログでもたびたび触れてきました。

➡石神井「再開発」に関する記事リスト こちら

地域の反発も強く、これまで積み重ねられてきたまちづくりのコンセプトや基準に反するという指摘も繰り返し向けられてきた、この「再開発」。それでも区は、あくまで進める気です。いや、進めるだけではなく、さらに質の悪い道へと足を踏み入れようとしています。

石神井公園駅南地区の地区計画の改定を柱とした都市計画原案の説明会が、今月中旬に開催されることになりました。(開催のお知らせは こちら) 地区計画の見直しはいくつかの柱からなっていますが、「再開発」事業に関するものは駅周辺の地区設定の大きな変更です。
具体的に見てみます。

上の図は、これまでの地区計画での地区区分です。この中の「駅前商業地区」を見てください。都市計画道路232号線の予定地を挟んだ両側に東西に広がる一角です。この「駅前商業地区」では、建物の高さは原則として35m以下に制限されていました。但し書きがあって例外的に35mを超えるものも認めるつくりになっていましたが、その場合も実際の運用は50mまででした。※

※「ただし、現に存する建築物のうち、その高さが、高さの最高限度を超える建築物で、区長が別に定める基準に適合し、周辺環境への配慮がされていると認める場合および面積1,000 ㎡ 以上の敷地で、区長が別に定める基準に適合し、市街地環境の改善に資すると認める場合は、この限りでない。」

この駅前商業地区には、実際には35mを超える建物が二つあります。一つは、富士街道そばに建てられたマンション(プラウドタワー)。ただ、こちらは地区計画が決まる直前にいわば駆け込みで建てられたものです。地区計画の下で建てられたものとしては、南口ロータリーの西に接して建てられた西武プロパティーズのマンションビル(『エミリブ石神井公園』)があります。このビルの高さは47.5m。それでも十分に高層なのですが、今の地区計画では少なくともこの程度のものしか建てられないことになっていました。

ところが、提案されている新しい地区計画の原案では、様相が一変します。下図が、地区計画改定案での地区の区分です。

 

駅前商業地区は、232号線の北と南に分かれ、それぞれ駅前商業地区Aと駅前商業地区Bとなります。この中の黄色の部分、駅前商業地区Aにおける建築物の高さ制限が大きく変わります。つまり
①35mの制限は一応残る
②ただし、一定の条件を満たした建物については50mまで認める
③さらに、2000㎡以上の敷地面積があり法定の「再開発」として建てられるもの、または総合設計制度を使って建てられるものについては35mの上限だけでなく、現在は要綱で定められている50mの例外基準も撤廃する
というものです。(下記引用参照)

※「1 面積が2,000㎡ 以上の敷地で、前面道路に接する全ての部分に歩道状空地(幅員3m以上で上空まで開放されたもの)を設けた建築物は、50m。ただし、敷地面積の規模および歩道状空地については、区長がこれと同等以上に市街地環境の改善に資すると認める場合は、この限りでない。
2 第1項の建築物以外は、35m
3 つぎに掲げる建築物にあっては、前2項の規定は適用しない。
⑴ 現に存する建築物のうち、その高さが、高さの最高限度を超える建築物で、区長が別に定める基準に適合し、周辺環境への配慮がされていると認めるもの
⑵ 面積が2,000 ㎡以上の敷地で、都市計画法第8条第1項第3号の規定に基づく高度利用地区内または建築基準法第59 条の2第1項の規定に基づき特定行政庁の許可を受けた建築物」

この新しい基準で区は、この駅前商業地区Aの中で2000㎡を超える敷地は最大で5区画あることを認めています。そのうち一つは先に触れた既存のプラウドマンション。もう一つは現行の50m基準で建てられた『エミリブ』。そして、今、計画されている「再開発」ビルが3つ目。あと2つは? 一つは建て替えの話が水面下で動いているらしいライオンズマンション。最後の一つは、ロータリー東側の一角です。

つまり、新しい地区計画は、南口の駅前に、線路と平行に最大で5本の100m級ビルが並ぶことを想定したものになっているのです。さすがに、建てたばかりの『エミリブ』の建て替えはずいぶん先のことでしょうが、ライオンズマンションの建て替えやロータリー東でのビル建設は決して遠い将来のことではないでしょう。100m級の超高層ビルが立ち並ぶ。区は、そのことを事実上、公式に認めています。

「今回の再開発事業や最近建築された高層建築物などの敷地が2,000㎡以上ありますので、将来的には100mを超える建築物が複数建つことも想定されます。」(都市計画変更素案説明会開催結果のお知らせ)

100m級のビルが、まさに超高層ビルの「壁」をつくる。それも駅前に。それも、石神井公園の駅前に。私には、悪夢のような絵図にしか見えません。こういう「まちづくり」を許すのかどうか。正念場が近づいています。

 

コメント

  1. 匿名さん より:

    計画地は道が狭いですが、バス通りである上、歩行者や自転車の通行が多く安全に問題があるため、再開発の計画が浮上した訳です。この再開発では、歩行者や車の運転者が安全に通行できるようになります。区民の安全が第一だったら、再開発を後押しなさるべきです。また、この再開発をすれば、より石神井公園の魅力が高まると思います。それは二子玉川や武蔵小金井南口、武蔵小山南口などを見られると良いと思います。いずれも、再開発によって街の魅力が高まり、道が広くなり歩行者が安全に通行出来るようになりました。