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大泉第二中をどうする? ~その5~

「用途地域」は、都市計画の基本中の基本です。もともとは地域地域での用途の混在を回避することが一義的な目的なのですが、関連して各用途地域ごとに建ぺい率、容積率、高さ、斜線などの制限が定められており、建物を建てたり開発を行う際にはまずこの用途地域に適合していることが大前提になります。
23区は全域で用途地域が定められています。この用途地域は、以前は定期的に全体の見直しが行われていましたが、2004年以来、一斉見直しは行われていません。その代わりに広がっているのがさまざまな都市計画事業とセットでの見直しです。とくに練馬の場合は、都市計画道路の整備と併せて道路周辺に地区計画をかけ、その中で道路沿道の用途地域を変更する「路線式指定」というやり方がしばしば繰り返されてきました。典型的なのは、地下鉄大江戸線の導入空間とされている230号線沿道です。道路整備に合わせ、道路沿道の高度利用や開発誘導を図る、そのために用途地域を緩和する。こんな流れです。
練馬区の都市計画図を見ると、もともとほぼ全域にわたって住居専用地域が広がる中で、主要な道路沿道だけが異なる用途地域になっていることがよくわかります。

➠練馬区の用途地域図は、こちらから

以前、議会でこの路線式指定の問題で質疑をしたことがありますが、その中で担当部長からこんな説明がありました。

まちづくり調整担当部長 委員ご指摘の路線型の話でございますが、練馬区はどちらかというと面的には住宅地ですが、路線として従来そこにいろいろ店舗だとか、そういうのが張りついていた経過があります。そういうような形で、どうしても路線型である程度の土地利用ができるような形の指定をしてきたということでございます。(2007.2.27予算特別委員会)

つまり、少なくとも既存の道路沿道の路線式指定について言えば、これは、主としてすでに存在している事業所、小工場等が住居専用の用途地域で違法状態になるのを避けるための措置でした。しかし、いったん緩い用途地域が指定されれば、いずれは開発の波がやってきます。沿道に巨大マンションが林立してきた新青梅街道や富士街道などは、その典型です。
そして今、新しい道路の整備をてこに住居専用地域内の用途地域の緩和と高度利用、開発を積極的に進めようという動きがきわめて意識的かつ系統的に進められてきています。志村区政の「まちづくり」の、ある意味で典型的な手法と言ってよいほどです。大泉第二中との関係で大きな問題となっている補助135,232号の両路線の事業も、まさにそうした「まちづくり」の一環なのです。

大二中の「報告書」に話を戻します。報告書が、建築面積を確保する便法、本当に姑息で急場しのぎの方法として飛びついたのが、この用途地域の見直し(緩和)でした。つまり、こうです。今は、校庭は第一種低層住居専用地域である。これを、第一種中高層住居専用地域にしてみよう。そうすれば、建築制限はこんな風に緩和されます。
■建ぺい率 50%➠60%
■容積率 100%➠200%
■高さ制限 10m➠17m

建ぺい率の緩和は、わずか10%です。ところがこの10%が決定的な意味を持つ。135と232両道路の両側20mの範囲で建ぺい率が10%緩和されると、建築面積の上限が4,000㎡から4,530㎡にまで増え、学校再建に必要だと試算された4,400㎡を見事に超えることになるのです。
本当に見事な構図です。あまりに見事なので、ちょうどうまく数字がはまるように必要な施設面積があらかじめ設定されたのではないか?と邪推したくなるほどです。ともかく、用途地域の緩和を通して、道路を前提にして大二中を「再建」するための道が来かろうじてつながりました。しかし、この用途地域の緩和、実はそんなに簡単なことではありません。(続く)

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