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decent work

 「decent work(ディーセント・ワーク)」という言葉があります。日本ではほとんど知られていませんね。しかし、国際社会では、ILO(国際労働機関)のイニシアティブのもとに、経済・社会政策の基本的な目標の一つとして、とても重要な意味を与えられている概念です。
 このディーセント・ワークの意味について、厚生労働省はこう説明しています。

ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)とは、人々が働きながら生活している間に抱く願望、すなわち、
(1) 働く機会があり、持続可能な生計に足る収入が得られること
(2) 労働三権などの働く上での権利が確保され、職場で発言が行いやすく、それが認められること
(3) 家庭生活と職業生活が両立でき、安全な職場環境や雇用保険、医療・年金制度などのセーフティーネットが確保され、自己の鍛錬もできること
(4) 公正な扱い、男女平等な扱いを受けること
といった願望が集大成されたものである。
(公式ホームページより)

 また、ILOのパンフレットには、こんな説明もあります。

ティーセント・ワークを一言で言えば、職業生活における人々の願望、と表現することができます。それは、生産的で公正な所得をもたらす仕事の機会、職場における保障と家族に対する社会的保護、個人としての能力開発と社会的統合へのより良い見通し、人々が不安や心配を表現する自由、自分たちの生活に影響を及ぼす決定に団結して参加すること、すべての男女のための機会と待遇の平等、などを意味します。

 長い間、労働問題と言えば、賃金や労働時間などの直接的な労働条件、失業対策などの雇用政策、労働組合などの労働関係の調整として語られてきました。しかし、そうしたいわば保護的・防衛的な考え方や目標を超え、より積極的包括的に労働、つまり「働くこと」を位置付け直し、それを社会全体の共通目標として取り組んでいこうとするところに、このディーセント・ワークという概念が生まれてきました。働くということが人間と人間社会にとってもつ根源的な意義をしっかりと踏まえよう。たんに賃金を得る手段、あるいは営利の手段、企業活動の従属物としてではなく、人が人間らしく生きていくための基本的なありようとしての労働。そんなイメージでしょうか。
 私は、このディーセント・ワークという考え方、あるいはそこに現れた労働観の転換にとても強く惹かれてきました。昔流(?)に言えば、「疎外された労働からの解放」とでも言うべきか…。ILOの文書の中には、「労働は商品ではない」といった表現がたびたび出てきます。
 ディーセント・ワークを、社会全体の目標とすることは、とても緊要で、意義あるテーマだと思います。もっとこの言葉が知られるとよい。少しこだわっていきます。

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