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何があったのか? ~練馬区と「統一教会」~

練馬区と「統一教会」※とは、どう関わり、あるいは関わっていなかったのか。
先のブログ記事で取り上げた「環境美化活動団体」登録や公設掲示板のポスター掲示という、それ自体は小さな入り口からもう少しこの問題を考えていきます。
     →「統一教会」問題を考える

※正式名称は「世界基督教統一神霊協会」。2015年に、これも曰く因縁が指摘されている経過の中で名称を変え、今は「世界平和統一家庭連合(家庭連合)」と名乗っています。ここでは、「統一教会」と呼ぶことにします。

練馬区に開示請求をしていた「環境美化活動団体」の登録やポスター掲示に関する資料が、出てきました。この二つの入り口に関する区と「統一教会」——正確に言えば“関連団体”である「ピースロード練馬」などとの関わりを、開示資料をもとに改めて整理してみます。

環境美化活動団体の登録と解消

練馬区の環境美化活動団体は、正確に言うと『練馬区環境美化活動団体への清掃用具支給要領』に基づく登録団体です。ほうきやごみ袋などの清掃用具を貸し出すための登録という、本当にささやかな事業です。昨年度までは、登録団体の要件は「練馬区に在住、在勤および在学する者で構成し、区内の一定地域を基盤として清掃等の環境美化活動を行う団体」となっていました。この要件で、「ピースロード練馬」が昨年度(2021年度)、登録を認められています。

実は、開示資料によると「統一教会」の関連団体がもう一つ、登録していたようです。「WFWP練馬東清掃コア」という名称の団体です。WFWPは、「世界平和女性連合」の略称です。「統一教会」の教祖とされる二人が創設したとされ、自民党の萩生田光一政調会長が「ご縁」があったと認めた団体です。私の問い合わせに対し、区は、「WFWP練馬東清掃コア」の方は2019年度から登録されていたことを認めています。それ以前は文書が残っていないので確認できないということなので、もしかしたらそれ以前からかもしれません。

この二つの団体の登録は今年度、2022年度は認められませんでした。登録が認められないこととなった直接の理由は、要領の改正です。『練馬区環境美化活動団体への清掃用具支給要領』は今年4月に改正され、名前が『練馬区環境美化活動団体支援事業実施要領』と変更、内容もかなり変わりました。もっとも大きく変わったのは団体登録の要件です。新しい要領では、要件が詳細に規定され、その一つとしてこんな条文が置かれることになりました。

(環境美化活動団体の要件)
第2条 環境美化活動団体として登録するにあたっては、つぎに掲げる要件を全て満たさなければならない。
(1)~(2) 略
(3) 特定の政治上の主義および宗教の教義を推進し、支持し、またはこれに反対することを主な目的としない団体であること。
(4)~(5) 略
(6) 第3号から前号までに掲げる団体の下部組織、関連組織ではないこと。

「ピースロード練馬」などは、この第2条第3号、第6号に抵触すると判断され、登録が認められませんでした。区は、登録を承認しない理由をこう書いています。「ピースロード練馬」に対して出された通知です。

区では、練馬区環境美化活動団体の位置づけや活動内容を明確にするため、 登録に関する要件や手続きの見直しを行うこととなりました。 これまで、団体の登録要件については定めを設けていませんでしたが、 政治・宗教等を目的とする団体については、見直しを行うこととなりました。
現在登録をいただいている団体について、こうした考えに基づいて合致するか確認を行ったところ、 貴団体は上記にあたると認められました。
このため誠に申し訳ありませんが、 令和4年度以降の登録はできなくなります。 これまでの清掃活動には大変感謝しておりますが、 事情をご賢察いただき、 ご理解くださいますようお願いします。
『練馬区環境美化活動団体への登録要件の見直しについて』(2022年3月)

登録の不承認を決裁した書類には、『ピースロード練馬を「要領に反する団体」とする根拠』という詳細な資料が添えられています。「統一教会」との関連などを整理したもので、区としても慎重に手続きを進めた形跡が伺えます。実は、登録の「不承認」の手続きを定めた条文も要領改正で新しく置かれています。一連の経過を見ると、「ピースロード練馬」などを環境美化活動団体から排除することを念頭に要領を改定したというのが本当のところかもしれません。

いずれにしても、安倍元首相の銃撃事件をきっかけに「統一教会」と行政や議会との関わりがきびしく問われることになる前に、環境美化活動団体の登録は解除されていました。なぜ、どういう問題意識で区がこうした対応を取ったかは、開示された資料からだけではわかりません。ただ、一つだけ付け加えておくと、団体登録は「宗教の教義を推進…」といった点で不承認となったのであって、決して「統一教会」やその関連団体が社会的に大きな問題を引き起こしてきた団体だからであるという理由ではありませんでした。この点では、環境美化活動団体についての区の対応は、「統一教会」問題を宗教一般の問題に解消しているとも取れ、一般の宗教団体(さらには政治団体)の地域における活動を不当に制約するという別な懸念を抱かせるものでもあります。

公設掲示板ポスターの異様さ
4月、環境美化活動団体の登録解除後に掲示されたポスター。この段階では「ヒースロード練馬は、環境美化活動団体として練馬区の承認を受け清掃活動をおこなっています」と記載されている

今年度、環境美化活動団体の登録は解消されたものの、区と「統一教会」との関わりは終わってはいませんでした。先のブログ記事でも簡単に触れましたが、「ピースロード練馬」のポスターが公設掲示板などに掲示され続けるという、新しい問題が起きていました。
区が設置している公設掲示板と区の掲示物の掲示に協力する協力掲示板は、あわせて1100か所以上あります。この掲示板に何を掲示するかは、区が選択・判断し、区からいっせいに管理を委託している町会等に配布されます。配布は月1回。そして、今年4月から8月にかけて、この区からの配布物に「ピースロード練馬」の活動ポスターが含まれていたのです。

今年度、各掲示板に掲示するために区から配布されたポスターのリストを、これも開示請求で入手しました。その結果をまとめたのが、下の表です。

ある程度、想像していたとはいえ、この資料を作ってみてやはり驚きました。「ピースロード」以外は、ほぼすべてが区組織や区の施設、国、都からのものです。民間の団体は、シニアネットワークと光が丘地区連合協議会(光連協)がそれぞれ一回のみ。この二団体は、どちらも練馬区の「協働」のパートナーとして実績の確かな団体で、しかも、この二団体はそれぞれ区が支援する企画を伝える1回だけの掲示です。
ところが、「ピースロード練馬」のポスターは毎月、しかも区内全域・全掲示板に掲示されています。くりかえしますが、今年度、「ピースロード」は環境美化活動団体としての登録すら得られませんでした。区が後援するわけでも支援するわけでもなく、まして社会的に大きな問題を引き起こしてきた「統一教会」と深く関連した団体です。
ピースロードのポスターは、毎月、活動のエリアが変わるだけでほぼ同じポスターです。他のポスターは、基本的に単発の企画や催しのご案内です。これではまるで、「ピースロード」の団体宣伝に掲示板を提供しているかのようです。ピースロードの取り扱いがいかに異例・異様かがわかります。(続く)

→「公益を害する恐れ」 ~練馬区と「統一教会」(2)
→透明・真摯な検証を ~練馬区と「統一教会」(3・ 終)

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