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練馬を切り離すしかない… ~児童相談所は「区立」で!(2)~

管轄区域の見直し、正確にいうと管轄区域に関する基準を法律で定めたことが、なぜ練馬児童相談所の開設につながるのか?

6つの児相が“違法”状態に

東京都の児童相談所の管轄エリアの現状を見れば、“謎”は解けます。都立の児童相談所は、今、10施設あります。それぞれの管轄人口はこうなっています。

人口は「住民基本台帳による世帯と人口」(令和3年1月1日現在)。東京都『令和4年度予算案の概要』より

管轄区域に関する法令の基準、「おおむね50万人」=「20万人から100万人」に当てはまらない、つまり“違法”状態になってしまう児童相談所は6つもあります。大変です。それは、都が児童相談所の適切な設置・配置を怠ってきたということに他ならないのですが、とにかく、この“違法”状態を解消する必要に迫られたからこそ、都は33年ぶりの児相新設という方針の大転換に踏み出したというわけです。(この現状を「広域的」な対応だと正当化するどこかの区長のことは、また改めて触れます。)
ところで、実はこの6つの児童相談所のうちいくつかは、これから数年のうちに管轄区域内に区立の児童相談所ができることで、管轄人口の“違法状態”が解消される可能性があります。
具体的には…
品川児童相談所 品川区(人口約41万人)が移管し、ほぼ100万人に
足立児童相談所 葛飾区(約46万人)が移管し、基準をクリア 
杉並児童相談所は、杉並区、中野区、武蔵野市、三鷹市を管轄していますが、杉並、中野の両区は区移管の準備に入っており、この二区が外れた時点で都立児童相談所自体がおそらくなくなるでしょう。また、八王子児童相談所はもともと八王子市のみを管轄しており、区域の分割は現実的ではありません。

つまり、管轄区域の基準設定によって緊急に対応を迫られるのは、三多摩をカバーする小平児童相談所と新宿にある児童相談センターなのです。三多摩は、杉並児相が閉鎖されれば行き場を失う武蔵野市、三鷹市も含めて考えれば、どうしても新しい児童相談所が必要になる。都は、そう判断をした。そしてもう一つ、児童相談センターをどうするか。

あまりに巨大な児童相談センター

新宿の児童相談センターは、効率優先で大規模化され地域と切り離された都の児童相談行政を象徴するような施設です。児童相談センターの役割を、都はこう説明しています。

児童相談センターは、地域児童相談所としての業務の他に東京都の中央児童相談所としての機能も持っており、地域児童相談所に対する連絡調整、技術的援助、情報提供、入所の調整等必要な援助を行っている。 (『児童相談所事業概要』

地域児童相談所の後方支援に当たるから「センター」だというのは理解できますが、しかし、このセンターは同時に地域児童相談所としての機能も持っています。 そして、その管轄区域が人口にして220万超!
現在の管轄区域は千代田区、渋谷区、台東区、中央区、新宿区、豊島区、文京区、練馬区、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村です。 昨年までは、これに港区が加わっていました。人口が巨大であるというだけでなく、その面的な広がりも半端ではありません。この児童相談センターの「管轄区域の適正化」のためにこそ、練馬児童相談所の設置方針は打ち出されたのです。 (続く)

第3回『都区連携の“窮余の一策” ~児童相談所は「区立」で!(3)~』

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