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前川区政の、新たなプラン

2022年。本当に久しぶりの投稿になります。元気にしています。

今年4月、練馬は区長選を迎えます。現区長の任期は4月19日まで。選挙の告示は4月10日、投開票日は17日とすでに決まっています。現職の前川区長は、昨年11月の区議会第四回定例会で、自民党の質問に答える形で出馬の意志を明言しました。三期目の挑戦、ということになります。
前川区政とは何だったのか。前川区政の8年間で、練馬と練馬区政はどう変わったのか。たくさんの区民に知ってほしい。考えてほしい。そんな思いで、シリーズを始めます。

『みどりの風吹くまちビジョン』と『アクションプラン』

昨年末、前川区長は『アクションプラン』の改定素案とそれに基づく年度別取組計画の素案を公表しました。3期目に向けた前川さんの、いわば羅針盤。そして、区長選に向けた事実上の公約集でもあります。
前川区政が今、何をしようとしているのか。まずはここから見ていきたいと思います。

まず、前川区政の計画体系を整理しておきます。堅い話ですが、目くらましのようなカタカナに惑わされないためにも。
自治体の行政は、総合的計画的に進めなければならない。これは地方自治の大原則です。そのためにさまざまな行政計画の体系を、どの自治体もたいていは持っています。練馬区政=前川区政の計画の最上位にあるのは『みどりの風吹くまちビジョン』(『ビジョン』)です。『ビジョン』は、前川区政の「基本計画」と説明されています。
最初の『ビジョン』が策定されたのは2015年3月。2019年度までの5年間を範囲としたものでした。『ビジョン』は2019年に改定されました。新しく定められた『第二次ビジョン』 の計画期間は2019-2023年度。第一次の計画期間が終わる1年前の改定でしたが、これは2019年の区長選の結果を受けてのものでした。

理念や施策の柱を定めた『ビジョン』にもとづいて、具体的な政策の体系をとりまとめたものが『アクションプラン』です。『アクションプラン』は、「戦略計画」と「年度別取組計画」からなります。「戦略計画」は柱となる事業それぞれの趣旨と5年間の目標を定めています。一方の「年度別取組計画」は「戦略計画」の目標を踏まえ各年度ごとの目標を取りまとめたもので、毎年度の予算編成の具体的な指針となるべきものです。「年度別取組計画」は3年を期間として定められ、その進捗状況を踏まえて残りの2年間の計画を追加するという造りになっています。

ということで、今現在、練馬区政は3つの計画を根幹において進められています。
①『第二次みどりの風吹くまちビジョン』2019-2023
②『アクションプラン・戦略計画』2019-2023
③『アクションプラン・年度別取組計画』 2019-2021

前置きが長くなりました。昨年末に前川区長が公表し、年を越してパブリックコメントにかけられていたのは、②の改定素案と③に続く後期(2022-2023)の年度別計画です。

コロナと「脱炭素」

区長選を前にして、前川区長は何を打ち出そうとしているか。少し詳しく見ていきます。
『アクションプラン・戦略計画』の方は、もともと5年の計画です。途中で大きく変えることはなかなかないでしょう。今回も基本は踏襲していますが、いくつか特徴的な見直しが入りました。
戦略計画の9と10、15は、表現がかなり変わりました。

  • 戦略計画 9  『住み慣れた地域で安⼼して医療が受けられる体制の整備』→ 『感染症対応力の強化と安心して医療が受けられる体制の整備』
  • 戦略計画 10 『みどりの風の中で、⾃ら健康づくりに取り組めるまちの実現』 → 『コロナ禍であっても、区民一人ひとりの健康づくりを応援』
  • 戦略計画 15 『住宅都市にふさわしい⾃⽴分散型エネルギー社会へ』 → 『脱炭素社会の実現に向けた総合的な環境施策の展開』

9と10は、新型コロナ感染症の経験と課題をひろおうとしたものです。また、戦略計画15は、地球環境の危機が叫ばれ、温暖化対策をはじめとした課題が大きくクローズアップされる情勢を意識したもので、いずれもごく当然の見直しではあります。コロナ対策と環境問題。具体的に何をどう打ち出したかは、改めて見ることにします。
新たに建てられた項目もあります。戦略計画22『DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進』です。この変更も、特に説明は不要でしょう。

こっそりと、しかし大きな後退も

「戦略計画」の方は大切な、しかし小幅な改定です。他方、「年度別計画」の方は見逃すことのできない修正がいくつも盛り込まれています。特に重大だと思われるのは次の項目です。

問題あり!! の項目
  1. 石神井公園駅周辺地区のまちづくり  「再開発」と都市計画道路232号線整備を推進。再開発ビルに石神井庁舎の大半の機能を移転
  2. 区立幼稚園の練馬こども園化  「実施」から「検討」に格下げ
  3. 学校図書館への人的配置 支援の充実に向けた検討 → 業務委託による学校図書館管理員を全校に配置
  4. 補助135号線および補助232号線(大泉学園駅南側地区)、外環の2、青梅街道インター周辺地区まちづくりなどの都市計画道路事業
  5. 美術館の全面リニューアルに着手  サンライフの廃止、貫井図書館を含む全面改築への転換
  6. 練馬ならではの映像文化プロジェクトの実施  スタジオツアー施設開設とあわせた練馬の魅力発信

以上の項目については、次の記事で少し詳しく触れようと思います。そのほか気になる変更はたくさんありますが、ここでは詳しくは触れません。議会で取り上げてもらえることを期待しています。

気になる変更点
  • 小中学校トイレの改修 R3・24校目標→「調整」
  • 区立学校の適正配置 新たな基本方針の策定 →新たな基本方針の検討
  • 不登校対策方針に基づく対策の充実 →不登校対策の見直し
  • シェアサイクル 新設
  • 230号線沿道まちづくり(大泉学園町地区) 地区計画決定 →事業計画検討
  • 松の風文化公園の拡張
  • 項目変更 町会・自治会の活性化 →町会・自治会のデジタル活用支援
取組項目から消えたもの

こちらは、アクションプランから事業の記載自体がなくなったものです。事業が終わったり時限的なものであればわかりますが、そうとも思えない。ただ、検証はできていないので備忘録として挙げておきます。

  • 「安心して保育サービスを利用できる仕組みづくり」(取組項目として削除)
  • 病児・病後児保育
  • 民間学童保育の拡充
  • コンビニと協働した地域の見守り体制の強化
  • 街かどケアカフェ コンビニ・薬局連携事業
  • Nerimaユニバーサルコンサート、ジャズイベント
  • ユニバーサルスポーツフェスティバルの地域展開

コメント

  1. 下河秀行 より:

    非常に分かり易い説明をしていただき、有難うございます。

    これから前川区政の動きを見守っていきたいと思っています。
    リベラル派の区長選の動きは、現在どのようになっていますか?