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環境アセスで「意見書」を出しました ~西武新宿線「高架化」~

西武新宿線の立体交差化事業は、「高架」方式での都市計画手続きが進んでいます。都市計画案の公告縦覧は終了し、環境影響評価書(アセス)案に対する意見募集も19日までになります。このあと環境アセスの評価を確定したのち、都市計画決定に動くという流れです。なぜ「地下化」を真剣に検討しなかったのか。なぜ「高架」ありきなのか。最後まで議論を続けていくつもりですが、とりあえずアセス案に対する意見書を先ほど投函してきました。短い意見書なので、そのまま再掲します。

「西武鉄道新宿線(井荻駅~西武柳沢駅間)連続立体交差事業」に係る環境影響評価書(案)に対する意見

環境影響評価の枠組みについて
  • ・連立事業については、環境影響評価条例附則に基づき、鉄道事業者と連携していることをもって計画段階環境影響評価の対象から除外しているが、連立事業があくまで都が事業主体となる都市計画事業であること、同事業の環境に及ぼす影響がきわめて大きいことなどを踏まえ、条例の経過措置を早急に見直すとともに、今回の事業についても地下方式を念頭に計画段階からの環境影響評価を行うこと
騒音評価の方法等について
  • ・鉄道騒音は、環境基本法による騒音規制の適用外とされているが、輸送力増強の中で車両数増に加え、1時間に最大で50本を超す列車が走行している現状がある。鉄道騒音は事実上、環境騒音の一部となっていると考えるべきであり、鉄道騒音も含めて環境騒音の規制基準を準用する取扱いとすべきである。
  • ・計画書は、『在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針』にもとづいて騒音評価の基準を「騒音レベルの状況を改良前より改善すること」としているが、これは極めて不十分であり、「環境基本法に基づく騒音規制基準」に準じた評価とすべきである。
  • ・軌道中心から測定地点までの距離が最短でも6.5mあるが、鉄道敷地に接して民家が存在している現状を踏まえ、測定地点を敷地境界にも設定すべきである。
  • ・中井・野方間の環境影響評価書によると、100dB近い単発騒音暴露が確認されている。こうした激しい騒音が繰り返されることは、たとえ継続的な騒音ではなくとも心身に深刻な影響を及ぼす恐れがある。また、「等価騒音」については日中で7:00-22:00をひとくくりにして推計しているが、1時間当たりの通貨本数で見ても時間によって倍近い差がある中では、騒音の影響を適切に評価しているとは言い難い。こうした点を踏まえ、時間単位の等価騒音レベルの評価を行うとともに、「等価騒音」による評価のみならず、「単発騒音暴露」についても環境影響の評価を行うこと。
  • ・建物等が存在することによる騒音減衰効果についての補正方法について、建築物等による実際の減衰状況にもとづいてその適否を検証すること。
  • ・事後評価における測定を12.5m地点だけでなく、より近接した地点でも行うこと
  • ・高さ方向の測定範囲を広げたことは評価するが、実際には資料編中に数値の記載があるのみであり、評価の対象として位置づけられていない。。高さによって高架化による騒音の変化が大きく異なることを念頭に置けば、高さ方向の測定をより綿密に行うとともに、評価書本書において適切に評価を行うこと。また、特に武蔵関駅周辺など鉄道敷地が低地となっている区間では、12.5m以遠の地点を取るとともに、測定・予測・評価を行うこと
振動について
  • ・「現地調査結果を大きく上回らないこと」という評価方法は環境保全という点でまったく不十分であり、振動の影響の大きさを十分に踏まえ、「現地調査結果を大きく改善すること」とすること。現行よりも数値が悪化している地点については、責任をもって軽減対策を図ること
日影について
  • ・日影については「『建築基準法』及び『東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例』を勘案して評価する」(調査計画書)とされているが、実際には日影評価の基準点を建築基準法等の定める位置(幅員10m以下の道路の場合は道路中心線)ではなく、道路北端に設定している。これは、基準法等を「勘案」したものとは認めがたい。事業者は「一体の都市計画」であること等を根拠としてこの方式を正当化しているようだが、鉄道の都市計画と道路の都市計画はそれぞれ独自の都市計画として処理され、決定権者も鉄道は都、側道は区で異なり、将来管理者も側道は区となる。側道が日影緩和を大きな目的として計画されているとしても、それ自体は道路法等に位置付けられた公道であり、道路としての機能、環境、利便性を担保されることは当然であり、この点では日影が大きく道路上を覆うことによる不利益、危険性等は決して軽視できるものではない。建築基準法の求める手法に沿って評価をやり直すこと
  • ・鉄道高架事業では、この間も同様の手法でアセスメントが行われてきたようであるが、東京都の求めるアセスメント上、適切かつ合理的なものであるのか、あらためて認識・見解を整理されたいこと

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