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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「避難場所」はどうなったのか? ~区議会でのやり取りから~

ある? ない?  使える? 使えない? 

としまえんが都の避難場所に指定されていたこと、震災時に大規模な火災が発生した時などは周辺地域の約6万5千人がここに避難する想定であること、そのとしまえんが閉園となり、解体工事も始まって、避難場所が使えなくなっていること。こうした指摘を、私だけでなくたくさんの議員が続けてきました。
区民の皆さんからも、区や区議会にたくさん声が届いていたのだと思います。区議会の決算審査の中でも、何回かこの「避難場所」のことが話題になりました。当然ですね。ことは「命」にかかわりかねない問題ですから。

→このブログ9/13の投稿『「としまえん」と防災 ~後回しにされていないか? ~』は こちら

まず、あらためて基本的な事実を整理しておきます。

  • 東京都は、震災対策条例で避難場所を指定しなければならないことになっています。
    「第47条 知事は、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するため、広域的な避難を確保する見地から必要な避難場所をあらかじめ指定しなければならない。」
  • 指定にあたっては屋外のオープンスペースであること、一人あたりの有効面積が1㎡以上確保されることなどの基準が定められています。
    「避難場所は、指定された避難場所までの避難距離が3km 未満となるようにその避難圏域を指定し、避難場所周辺での大規模な市街地火災が発生した場合のふく射熱を考慮した利用可能な空間として、避難計画人口一人当たり1㎡以上を確保することを原則としている。」『東京都地域防災計画(2019改定)』
  • この指定は、「告示」されます。告示は、原則として5年おきに一斉に更新されます。最新の告示は2年前、2018年6月です。指定内容は こちら で確認できます。
  • この告示によると、としまえんを避難場所として指定されているのは20町丁に住む63,669人。としまえん内の避難有効面積は97,668㎡、一人あたりで1.53㎡です。避難に使える場所として都が想定ていたエリアの、おそらくは最大の部分が川の北側になります。
  • 8月31日にとしまえんが閉園に。避難に最適であった石神井川北側のオープンスペースにハリーポッターのスタジオ施設が整備されることになり、一帯は閉鎖管理され、解体工事が始まりました。住民は避難しようにも避難できない状況になってしまいました。
  • としまえん跡が避難場所として引き続き機能するのかどうか、機能させるにはどうしたらよいか、機能しないとしたら代替の避難場所はどうすのか。こうした当然の疑問に、都も区も、責任ある回答ができない事態が続いていました。
都の避難場所指定一覧より

こうした事実関係と経過を踏まえて、私は、“避難場所がなくなった”という指摘をしてきました。告示が空洞化しているのだから、改めて避難場所の指定をやり直すべきという私の指摘に対して、都の担当者は「告示は次回一斉見直しの2023年に」「それまでに避難場所が機能しなくなった場合は区が対応を考えるべき」と条例上の責務など忘れたかのような答えだし、区は区で「いざとなったら塀を乗り越えてでも入ってもらう」と言う。都にしても区にしても、無責任きわまりないことを口にする始末でした。
としまえんを避難場所とする告示だけはそのままになっていましたが、すでに「としまえん」は存在せず、しかも事実として、あるいは実態として、としまえんが避難場所として機能しなくなっていたことは間違いありません。避難場所が失われることへの危機感を言葉にしたすべての議員と区民の名誉のために、このことはしっかり確認しておきたいと思います。

「鍵」は開けられるようになったけれど…

さて、議会でのやり取りです。ここでは、10月7日のこども家庭費での質疑を紹介します。この日、避難場所をめぐって、新たな展開と踏み込んだやり取りがありました。

最初に取り上げたのは、自民党の委員でした。としまえんは閉園したわけだが、避難場所として使えなくなってしまうのか。まずこう問われて、区の防災計画課長が答えています。

「東京都が西武鉄道に対しまして、としまえんはこれまでと変わらず引き続き震災時、大規模な火災が起きた場合は避難場所として使用できる旨、確認したと聞いております。」

工事が始まっているが、大丈夫か。鍵もかかっているが、どうなるのか。質疑が続きます。当然の疑問です。これに対する答えがこちら。

企画課長
「工事期間中などを含めました公園等整備の各段階におきましても、避難場所としての位置づけは変わらないのは当然のことと考えてございます。」
防災計画課長
「としまえんの職員が滞在する間はとしまえんの職員が解錠します。具体的な時期は調整していますが、できるだけ早く区が鍵を預かり、必要に応じ区の職員が解錠するようにいたします。」

とても大切な質疑です。鍵の問題など、具体的な答弁まで引き出したのはさすがに第一会派という印象です。しかし、この答弁だけで避難場所としての機能が確実に担保されたと言えるのだろうか? 質疑を聞いていて私の疑問はかえって膨らみます。
ちょうどこの日は私も後半で質疑に立つことになっていたので、急きょ、予定していた質問内容を差し替えてこのとしまえんの「避難場所」問題を取り上げることにしました。以下がその質疑です。鍵の取り扱いすら9月30日になるまで整理されていなかったこと、工事等との関連で本当に避難できるのかは区としてまったく答えられないことを確認して頂けると思います。スタジオ施設整備後も含め、避難場所の問題は、いまだに責任ある解決には至っていないということです。
(録音から起こした未定稿です。正式な議事録ではありません)


池尻成二委員 先ほど、随分広がりのある質疑がありまして、私も大いに刺激を頂きました。そのときの理事者の答弁あたりから、少し聞いてみたいと思います。
 そのときの答弁では、避難場所としてのとしまえんの使用について、これまでと変わらず使えるように西武鉄道と確認をした。いざというときには、西武鉄道が鍵を開ける。区としても鍵を預かり、開錠できるようにしたい。こんな感じの答弁だったと思います。まず最初の確認なのですけれども、この西武鉄道との確認をなさったのは、いつですか
防災計画課長 東京都が指定場所としておりまして、都が所有者と協議すべきことと認識しておりましたので、具体的な時期というのは、区では承知してございません。
池尻成二委員 何を想定していないか分からないけれども、先ほど確認したと答弁していなかったでしょうか。確認したのだったら、確認したのはいつか教えてください。
危機管理室長 先月30日に、東京都からご連絡をいただきました。
池尻成二委員 9月30日に確認をしたと。確か、準備工は工事が始まったのが9月の頭でしたから、9月30日に鍵のことについての確認ができたと。
この確認の中で、避難場所として使えることになったらしいのですが、今、北側の伐採も含めて、重機も入りましたし、これから本格的な工事が進んでいきますよね。加えて、かなり危険な吹付アスベストもあって、アスベストエ事としても、かなり大規模なものになるわけですけれども、この北側の工事区域についても避難場所として使えるということですか。
危機管理室長 避難場所については、火災から身を守るということでございます。そもそも避難場所は、オープンスペースに逃げましょうということになっています。東京都からは、としまえんにはオープンスペースがありますので、そちらが避難場所になると聞いてございます。
池尻成二委員 答えてないのだけれども、危機管理室長、北側の工事区域についても避難できるのですかと聞いているのです。ここ、大事なことだから答えてください。
危機管理室長 繰り返しになりますけれども、東京都からは、としまえんが、今、工事をしてますけれども、オープンスペースがありますので、避難場所として、そのまま使うようにしますと聞いてございます。
池尻成二委員 では少し聞き方を変えますけれども、としまえんが避難場所として指定をされている条件は実際いろいろありまして、地域的には6万人を超す人口の避難場所として担当区域が決まっている。加えて、1人当たり1.5㎡の面積を確保することが指定の基準※である。単純に考えると、9ha以上になるのですけれども、工事が進んで建物も建っていく。その中で、としまえんに、この9haの避難空間が確保できるということで確認はされているのでしょうか。
   ※正確には「基準」ではなく「内容」
危機管理室長 具体的な数字は確認してございませんけれども、避難場所、また、今ご紹介ありましたけれども、それに係る避難区域の設定、こういったものは東京都の計画でございますので、決定するのは当然東京都になります。その関係で言うと、区に権限はございません。私どもに権限のないものに、幾ら尋ねられてもお答えのしようがないというところでございます。
池尻成二委員 権限がないから答えられない、権限があるかどうかに関わらず、答えを持たずに先ほどのようなご答弁があったわけですよね。これは、避難場所について答える仕方としてはいかがなものかというのは、これは取りあえず感想でいいです。
 この間、このとしまえんのあり方については、所管とも随分いろいろな話を私もしましたし、私の同僚もしましたし、他の議員もなさってきました。私、よく覚えているけれども、そんなに昔ではない、所管の課長が今日、答弁しているけれども、避難場所どうするのだと聞かれたら、いざとなったら塀を乗り越えて入ってくださいと、前は真顔でこう言いました。先はどの質疑の中で、何か避難場所については、もう準備万端、用意周到で対応してきたというかのような発言と答弁があったけれども、全然実態は違う。その具体的な経過をちゃんと見ないで、あたかも事実に反することを言ったかのように物を言うのは、これは議員の発言としては、私は少し節度がないと思います。そのことを申し上げておきたいと思います。
 それから490ページ。保育委託費についてお聞きします。
酒井妙子委員長 企画部長が手を挙げておりますので、池尻委員、すみません。
池尻成二委員 もう答えなくていいのだけれども。
企画部長 先ほども他会派の委員のご質問に答弁しましたが、工事期間中なども含めまして、これから整備のプロセスというのはございます。その間につきましても、避難場所としての位置づけは変わらず、それの機能がちゃんと発揮されるように関係者が協力するということは、これは確認をしておりますので、そういう前提で私ども取り組んでいるところでございます。よろしくお願いいたします。
池尻成二委員 答弁が入ってしまうと、この話、また続くのです。
 今の企画部長の答弁、非常におかしいというのは、確かに覚書では協力してやっていくとは書いてあるけれども、でも、鍵をどうするかということ自体、その基本的なことですら9月30日まで決まってなかったのです。だから、抽象的あるいは原則的に協力するということを幾ら言っても、具体的、現実的に避難場所としてどう機能させるかについて責任のある対応と課題解決ができていなかったということです。それがまさに9月30日ではないですか。私はそのことを言っているわけで。
危機管理室長 これまでも、区からは、その運用面ということで西武鉄道さんとお話合いをしてきました。最大限に協力しますというお話も頂いておりました。具体的なお話として、鍵の貸与についてお話を頂いたということでございます。
池尻成二委員 こうやって危機管理室長もいろいろと答弁いただくから、一言だけ言わせてもらいますけれども、協力するという合意を取り付けてきた、最終的に鍵の扱いも含めて雍認をしたこと自体は、区の努力は多とします。多としますけれども、本来なら、そういうことを整理してから工事に入るのが筋でしょうというのが私の思いです。

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