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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「合意」抜きで突き進むのか ~石神井公園駅南口「まちづくり」~

石神井公園駅南口で進められようとしている、超高層ビルと大型道路を柱とした「まちづくり」についての続報です。先に最終日本会議での討論を紹介しましたが、それに先立つ13日の都市整備委員会では、陳情審査というけじめにあたって少し時間を頂いて質疑をしました。焦点を当てたのは「高さ=スカイラインの考え方」と「石神井公園通り商店街の合意形成」の二つ。ここでは、質疑の後半、後者についての質疑をそのまま紹介します。録音から起こしたもので、正式な議事録ではありません。話し言葉もほとんどそのまま拾っていますが、質疑の雰囲気は伝わるかもしれません。

※技監――「技監」は技術系の役職の一つで、わかりやすく言えば副区長・教育長に次ぐポジション。技監は都市整備部長を兼務している
※拡幅とセットバックーー公園通りをはじめとした商店街の通りは、現在の地区計画では建て替えの際に道路を拡幅する、つまり区が土地を道路として買い上げることになっている。この拡幅をセットバック、つまりそれぞれの私有地のまま建物を下げて空間を空ける形に見直すのが今回の地区計画改定の柱の一つ


池尻委員 合意形成についてもっと深刻なのは公園通りですよ。公園通り。坂尻さんもおっしゃったけど、公園通りの合意形成は極めて深刻ですよ。確認しますけれども、商店街には4本通りがある。公園通り、庁舎通り、銀座通り、駅前通り、4本通りがある。この4本の通りの中で、拡幅かセットバックかは別として、一定の権利の見直しとか制限を受ける空間の距離というんですかね、どれくらい下がらなければいけないかというのは簡単に紹介できます?4本の通りについて。

西部地域まちづくり課長 庁舎通りと公園通りに関しましては道路端から2m壁面後退という形で今お示ししているところでございます。銀座通りと駅前通りに関しましては6m幅員がない部分もございますので、中心3mまで広げた後に50㎝壁面後退をするというようなことで提案しているところでございます。

池尻委員 どんな幅員であったって、セットバックにしろ拡幅にしろ、下がるということは大きな影響がある。その通りなんですけれども、でも50㎝と2mじゃね、やっぱりかなり違う。庁舎通り、公園通りはつながっているんだけれども、庁舎通りは実は結構空地もできてきていて、条件が若干違う。でも公園通りはベタで商店が並んでいる。その商店が並んでいる公園通りに2m、両側2mですよ、両側2mのセットバック、拡幅を求めるというのは大きな、大きな権利に対する影響があることはこれは絶対否定できないでしょ。
公園通りの合意形成というのは、今回の地区計画の改定の要の一つですよ。そのことは課長もよくわかっていたはず。前回の委員会で、私は沿道の権利者の合意形成はどうなっているんだと、たくさん署名を添えて要望が出たじゃないかと、お聞きしました。その時に、課長も技監も口をそろえて要望書はもらったと。もらったけれども、それを受けて個別に訪問して改めて意向を確認したら、多くの方にご理解いただけたと。だから案に進みますよということを答弁された。私は本当かなと聞いてましたけれども、でもそうおっしゃった。おっしゃったんです。ところが、昨日公園通り商店街の責任者の方が、控室を回ってみえた。議会に陳情をお出しになったと。受理されたそうです。まあこれは付託されてないからこの委員会でこの陳情そのものをどうこうすることじゃないんだけれども、回ってきたときに私いろんな話を聞きました。どうですか、商店街の雰囲気は?どんな感じで今回改めて議会陳情までお考えになったんですかというお話をさんざんしましたよ。そしたらね、お話は地区計画の改定案の撤回を求めるという趣旨で今頑張っているんだと。声を出したんだと。で、前回の区長宛の要望書よりもむしろ署名は増えている。こうおっしゃっていた。私はちょっとびっくりしましたよ。前回の委員会での技監の答弁は何だったの?課長の答弁何だったの?と思っちゃった。課長、お聞きしますけれども、公園通りにはお店いくつあります?

西部地域まちづくり課長 お店の数までは、この場で数字はお答えできませんけれども、画地数でいけば35画地くらいあるのかなという風に考えてございます。

池尻委員 画地で35と。お店だけじゃなくて住居もありますからね。入っているかもしれませんけれども。で、昨日回ってこられた方にお聞きしました。何件くらいの署名が集まったんですかと。数えたら23だそうですよ。23の物件、建物にそれぞれ関連する権利者が何人も署名を添えていらっしゃる。こういうことですよ。私はこういう動きを商店街がせざるを得なかったというのは大変重大な問題だと思いますよ。で、お話をしていれば、前回の委員会を傍聴なさっていた。傍聴なさってて、まるで反対しているのが少数で、概ねが課長が回ってきたら了解していたかのように答弁された。それは違うということで、こうやって改めて署名をお出しになったようです。これはね、本当に尋常じゃないですよ、こういう事態は。
聞きますけれども、課長はこの間、公式にも非公式にも商店街との信頼関係を大切にしていきたいとずーっと言ってきた。私は課長のその言葉は嘘はないとずーっと聞いてきましたよ。だけど今回ね、課長が回って概ね了解をもらったと技監にも上げたんでしょう。その報告のすぐあとにこうして、全然それと違う新しい地区計画改定に反対するという陳情まで議会に出るという事態になっているわけですよ。これね、課長が現場を預かってきた担当者として、課長の真価が問われる。責任が問われると思います。もう一回改めて公園通りの皆さんから意思表示が出ているということについて、どう受け止めていらっしゃるかお聞かせいただけますか。

西部地域まちづくり課長 議会の陳情に関わるお話でございますが、事務レベルでそういったものが出てきたと聞いておりますし、窓口に代表の方がいらっしゃって、そういったことを報告していただいたので、私としてはそういったものが出てきているということは認識しておりますけれども、私の方で、先日答弁させていただいた内容については、別段事実と異なるようなことはございませんで、私どもとしては、この計画案を沿道の方々にご説明して、一定のご理解を得たので、原案、案と進めてきて要望書が出た後もですね、もう一回回って沿道の権利者の方々のご理解のレベルはあまり変わっていなかったというようなことで、前回ご報告したものでございますので、考え方としては前と変わらないという風に認識しております。

池尻委員 一定のご理解とか、考え方が変わらないとか言っているけど、課長ね、そういう言葉を重ねれば重ねるほど課長への信頼が壊れていきますよ。本当に忠告しておきます。前回、課長も技監も答弁したときに、何とおっしゃったか。一部に反対が残ることはどうしても仕方ない面があるけれども、多くの方のご理解をいただいたと、はっきり言ったんですよ。多くの方のご理解をいただいたと、地区計画について。言ったんですよ。一定の理解と違いますよ。
それは前段があって、私が前回の委員で紹介した様に、練馬区はかつて大泉町2丁目地区計画の時に、当時の都市整備部長が、きちんと関係権利者の理解を得る努力をしないといけないと。そのためには時間を惜しまないと答弁していた。その答弁を紹介して、技監にこの答弁は今でも変わってないのかと言ったら、技監は全く変わっていないとおっしゃった。その文脈の中で、今は公園通りについては、全員賛成とは言わないけれども、多くの理解をいただいたと判断したので、案に進んだと言ったんですよ。その認識は今でも間違っていないと思ってますか、課長。

西部地域まちづくり課長 そのように考えております。

池尻委員 まあ実際に、区議会陳情ですからまだ付託されていないし、どういう署名が添えられているかも委員会で共有することもできません。私はどういう状況かについて直接商店街の方々から聞いた話をご紹介しました。それは知らない、聞いてないというんだったら仕方ない。でも私は嘘は言ってません。嘘は言っていないということで、今お話をしています。委員会の場ですからね。それにもかかわらず、一定の理解をいただいた。それどころじゃない、多くの理解をいただいたという認識は変わらないというのは、極めて無責任ですよ。無責任。このまま都市計画決定の手続きをすすめちゃまずいですよ。まずいと思いますよ。
それでね、技監にちょっと確認ですけれど、最後は技監が前回答弁拾ったんですよ、最後答弁された。もう一回聞きますけれども、2010年1月22日の交通特で都市整備部長が「地域の方々からご理解をいただけないとなるとスケジュール的に立ち止まざるを得ない。地域の合意形成にまず、重点を置いてご理解を得たうえで進めていきたいと思っております。」ということで大泉町2丁目地区計画は原案で止まった。10年間止まって、原案からもっと戻ってまちづくり協議会の議論から再開しているということについて都市整備部長の答弁を紹介しました。地区計画というのは一般の都市計画とはわけが違う。都市施設を整備する都市計画とはわけが違う。これは地区が、その地区の権利者がちゃんと合意を積み重ねていって初めて成り立つ都市計画ですよ。地区計画に関する2010年1月22日の都市整備部長の答弁は今でも技監、変わらないという見解をお持ちですか。確認します。

技監 前回も申し上げましたけれども、地区計画については、基本的には地域の皆さんと、私ども行政がともに勉強しながらまとめていくものであって、地域のご理解をいただきながら進めていくものだと。前回も言いましたけれども、100%の合意かというと、そうはなかなかいかないと。多くの皆様のご理解を得た計画にしていくという姿勢には基本的には全く変わっていません。で、今回の地区計画についても、まず一つは地区計画といっても今、部分の話をしていますけれども、地区計画自体は今の商店街通りだけではなくて、もう少し広い範囲で進めている、そういう中で、理解を求めていくということが第一点。商店街通りの話について今、るる話がありましたけれども、私どものよって立つところは要するに、職員たちが個別に訪問してお聞きをした中身についてよって立って理解を得ていると。多くの方に理解を得ているというように思っているというところでございます。
なかなかこういう委員会では言えないところもございますけれども、先ほど他の議員からもありましたけれども、職員が行くとなかなか本音の部分が言えないという話がありましたけれども、逆に、職員が行ったがゆえに、私が報告を聞いている限りでいうと、逆に本音の話を聞いているのかなということもあると。そういうものをトータルして考えますと私どもは商店街通りの部分についても、もちろん先ほども申しましたが一部反対の方もいらっしゃいますけれども、多くの方にはご理解をいただいているという風に今でも判断しているところでございます。従って、私どもとしては今池尻議員の話があった通り、多くの反対があるから立ち止まってという状況ではないと考えております。

池尻委員 今の技監のご答弁聴いててね、ちょっとびっくりしたけれども、区の職員が行った方が本音が言えるっていうのは、裏返すと、要望書を取りまとめる現地の努力っていうのは、本音じゃないところで動いているということを言ってるんですか?そんなこと言ってるんですか?そんなこと言わないよね?出てきた署名や要望はきちんと真摯に受け止めるべきですよ。しかも、前回の答弁で多くの方の理解をいただいているとおっしゃったのを受けて、改めて声を拾い、声を集め、署名を集めて、動いてらっしゃって、さっき紹介したように現実にきていらっしゃるんだから、そこは謙虚に受け止めないと。
さっき一部だというようなことをおっしゃった。公園通りは確かに、地区計画全体の一部です。いくつもある地区施設のその中の一つです。だけど、悪いけど、大泉町2丁目の地区計画のなかで、問題となった地区施設の方がはるかに小さいですよ。技監、覚えているでしょう?どの地区施設だったか、どこの線だったか、覚えてるでしょう?はるかにちっちゃい。それでも当時は地区計画を止めたんですよ。地区施設をつくるというのはそういうことです。地区施設をつくる、あるいは地区施設を見直すということは、本当に生活の根底に関わるような権利制限につながるようなことがあるわけだから、だから関係権利者の同意は大事にしよう。全員が無理でも合意を整えるために時間をかけ、惜しんじゃいけないというのが前回のさっき紹介した都市整備部長の発言ですよ。今の技監の姿勢と全然違う。悪いけど。
私は少なくとも、公園通り商店街、さっき課長に確認したけれども、地区施設の中では最も影響の大きい地区施設の一つですよ。その公園通り商店街の皆さんともう少し時間をかけて、真摯な対話をやるべきだ。その時間を惜しむべきではない。私たちは皆さん議員はいろんな形で商店街にお世話になっていますよ。よくお話をします。商店街の皆さんも区との共同ということをとっても大事になさっている。坂尻さんが言ったのように、区の職員が来たらとまでは私は言わないけれども、やっぱり区との関係はとっても大事になさっている。それはよくわかる。その商店街の皆さんが敢えて署名まで添えて、区の方針に異を唱えたという重みをね、私はしっかり受け止めた方がいいと思いますよ。だから、改めて求めますけれども、地区計画を撤回しろとまではいわない。少なくとも、公園通り商店街の皆さんとの丁寧な合意形成にもっと時間をかけるべきです。今の段階でこのまま都市計画決定を進めるべきではないと私は思います。技監いかがですか。その判断してくださいよ。

技監 まず最初の話からいうと以前の都市整備部長が言った話の地区の話がありましたけれども、私が申しあげたのは地区計画はまず全体で、全域でまず判断していくものと、部分の判断がありますねっていう話をしたんですね。それで今回の地区計画で言えば、全体の話としても一定の了解を得ている。部分の話というので商店街の話ね、その話についても、私どもの理解というのは一定の理解、多くの理解を得ているというのが私どもの今の判断です。で、地元の皆様から出された、要望書については重く受け止めなさいというのが委員のお話かと思いますけれども、私どもはまさに同じ判断で、前回要望書が出されたから、本当にそうなんだろうかということで、確認をさせていただいた。その結果が多くの方の理解を得ていると判断したのでこの手続きを進めてきているというものでございますので、今この手続きを進めている中で、ここで今手続きをいったんやめるということは基本的にありません。ただ、地区計画は変更の決定をしていきたいと思っていますけれど、商店街通り自体の、本当の意味でのまちづくりの具体化についてはこれからの話になりますので、これからも公園通り商店街の皆さんとは具体的にどういう風に整備していくかについては引き続き協議をやっていきたいと思います。

池尻委員 まあ聞いていて、すごく残念ですね。合意を整えるということがまちづくりにとってどれほど大事なことかと真剣に考えたら、計画は決めさせていただきますけれども、これからまた一緒にやっていきたいと思います、ということ自体が、私は極めて傲慢だと思いますよ。地区計画のまちづくりとしては。そういう意味ではやっぱり、今の技監の答弁、課長の姿勢も含めて、地域の関係権利者との信頼関係を大きく損なう答弁だと思います。
私は議員としては出された陳情について、きちっと出された陳情に対して結論を出す責任があると思います。他方で、これだけ関係権利者の意向が表面化して、それで区との認識の違いが出ている中で議会で非常に難しい判断が問われているとも思ってます。議会としては先ほどお話しした通り、商店街というのはとても大事な区政のパートナでもあるし、議員にとっても大切な関係者だと思います。石神井公園の商店街については、私なんかよりもずーっと深くかかわっていらっしゃる議員がたくさんいらっしゃる。たくさん地域のために商店街のためにとご努力なさってきた。そういう経緯があります。そういうことを考えると、一番権利関係に大きな影響が出る公園通りの皆さんからかなり大きな異論が出ているような状況の中で果たして議会として、性急に結論を出していいのかという点についても、迷わないわけではないです。そこは正副のお諮りだと思いますけれども、私としては、さっきご紹介した様に、新たな議会陳情が受理されているようでもあるから、それも含めて今日の扱いについては正副でお諮りいただきたいと思います。以上で終わります。

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