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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

石神井「再開発」で反対討論 ~区議会最終日・本会議~

7つの会派が討論に

16日は、区議会第3回定例会の最終日。各定例会最終日の本会議では、提出されていた議案に対する議会の意志を最終的に決めるための議決が行われます。各会派の意見が一致していたり、一部異論はあるけれどもあえて本会議での採決を求めない場合もたくさんありますが、予算決算、対立する議案などでは本会議で討論と採決が行われます。この日は、2019年度決算と石神井公園駅南地区のまちづくりに関する6本の陳情について、討論・採決がありました。

石神井関係の陳情6本のうち、4本は超高層ビルを柱とした「再開発」計画や大型道路に反対する主旨のもの。2本は、逆に推進を求めるもの。付託されていた都市整備委員会では、委員長を除く9人のうち共産党、オンブズマン、それに私の3人が前者に賛成、自民・公明・練民会の6人が後者に賛成。委員会としては、「再開発」と道路整備を推進すべきという結論になったのですが、本会議の場であらためて論点を明らかにし、全議員の意志を問うために採決が行われることになったものです。

本会議の討論には、全部で7つの会派が壇上に。自民党、公明党、共産党、立憲民主党、生活者ネット、都民ファースト、そして市民の声ねりまの私です。これだけ多くの会派が陳情の討論に立つというのはそうそうありません。それだけ大きな争点であり、地域の関心も高く、また議会で激しい論争が交わされてきたということでもあります。

なかなか力のこもった討論でした。区議会の公式サイトで動画も見られますので、ぜひご覧ください。
練馬区議会議会放映システム
第3回定例会の10月16日を選んでください。討論は23分過ぎから(共産党からです)。私の討論は35分過ぎになります。

採決では、都市整備委員会に入っていない会派のうち立憲民主党、生活者ネット、市民ふくしフォーラムも含め「再開発」等に反対する立場の議員が15人、推進が34人。練馬区はこの議決結果も踏まえ、都市計画決定に向けて突っ走っていこうとしています。残念な結果ですが、しかし、これはこの問題の終わりではなく、新しい始まりです。

池尻成二の討論

以下、私の討論原稿です。区の進め方が極めて不当であり、法の趣旨、この間の区自身の答弁に照らしても異様なものであることを厳しく指摘しました。動画と合わせてご覧ください。

市民の声ねりまを代表し、石神井公園駅南地区地区計画の変更等に反対し陳情4,22,42,43号の採択を求める立場から、討論を行います。

2010年1月の交通対策特別委員会で、大泉町2丁目地区計画の取り扱いをめぐって、記憶に残るやり取りがありました。この地区計画は当時、原案の説明会まで終わっていたのですが、その中の地区施設にかかる権利者に強い異論があるという指摘を受けて、都市整備部長がこう答弁をしたのです。
「この地区計画というのは地域の方々の理解を得て、地域の方々が将来、どういうまちづくりをしたいかということを都市計画として決めていくものでございます。したがって、地域の方々からご了解を得られないということになると、やはりこれはスケジュール的に立ちどまらざるを得ないということでございます。したがいまして、地域の合意形成にまず重点を置いて、ご理解を得たうえで進めていきたいと思っております。」
この答弁を受けて、地区計画の手続きは止まりました。昨年、作業が再開されましたが、この間10年。しかも、当時の原案からではなく、住民協議会での合意形成に立ち返っての調整が続いています。

都市計画とりわけ地区計画においては、合意形成を図ることが欠かせないこと、合意が整っていない場合は「立ち止まらざるを得ないこと」。区の責任者がこうした考え方を議会の場で明言した事実は大変重いものですが、しかしそれは、そもそも地区計画の大原則であり、法的な規範でもありました。
1980年、都市計画法が初めて地区計画制度を位置づけた際の国会審議の中で、政府はこう答弁しています。
「100%の同意がなければ、法制度上進められないということにはなっておらないが、実際の運用におきましては、皆さん方の全員の同意が得られるように努力をいたしてまいるべきものと考えております。」
地区計画は、道路などの都市施設を定める都市計画とちがって、地域の自発的なまちづくりの努力を根底に置いた都市計画です。そのため、地区計画を定めるにあたってはひときわ慎重に、またひときわ重く、関係権利者の合意が求められるべきであり、そのことは、国でも、また区でも、一つの規範として受け止められていたのです。

ところが、今、石神井公園駅南地区の地区計画改定において、練馬区はこの法的な規範に反し、かつての自らの公式答弁を事実上反古にすることを強引に進めようとしています。その象徴が、公園通り商店街における合意形成です。
まさに素案から原案、案へと進むただ中で、当該商店街の権利者の大多数が署名を添えて地区計画改定案に反対する意志を表明しました。それも、2回も。一度目は区長への要請書として。そして二度目は、この要請をはねつけ、果てはそれがまるで信用できないと言わんばかりに戸別訪問をかけ、そして「多くの方」は同意してくれたと議会で答弁をした、そんな区への抗議ともとれる新たな議会陳情としてです。

石神井に限らず、商店街の皆さんが区との信頼関係を大切にしておられることは区もよく知っているはずですし、我々議員もよく知っています。その商店街の皆さんがこうした意思表示を、それも二度もなさるとはよほどのことです。そのことの重さに思いを致す常識的な感覚と節度があれば、少なくとも都市計画手続きをいったん立ち止まるのは極めて当然の対応であったはずです。
しかし、練馬区は商店街の関係権利者、今回の地区計画改定で権利関係にもっとも大きな影響を受ける皆さんの声を二度までも踏みつぶし、都市計画手続きを強行しようとしています。10年前、地域の合意がなければ立ち止まると言った、あの時の謙虚さのかけらも、今の練馬区にはないと言わざるを得ません。

232号線のように、大量の通過交通を呼び込む幹線道路をなぜ駅前につくるのか。駅直近に100m級の超高層ビルを何本も並べるような街づくりを、なぜ進めるのか。この本質的な疑問は、私自身、繰り返し指摘をしてきたところです。しかし、それ以前に、まさに手続きの正当性、適法性において、今回の都市計画改定は重大な問題をはらんでいます。
練馬区のまちづくりは、おかしくなっています。区の異様な姿に目をつむるなら、我々議会は大きな悔いを抱き続けることになるに違いありません。石神井の町、商店街とともに歩んできた議員の皆さんをはじめとして、すべての議員各位の賢明な判断を期待し、討論とします。

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