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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「信号」が守れない“安全” ~視覚障害者の訴えから~

練馬駅から区役所に向かう途中、千川通りの交差点にこんなものが立っています(写真)。たくさんの人が通るけれど、たぶんほとんど注意を向けられることのないこの機械は、「音響用押しボタン」というその名の通り、このボタンを押すと信号から案内音が流れる仕掛けになっています。信号があること、信号の位置、そして信号が青であることを音で伝えるための案内音です。もちろんこれらは、視覚にハンディのある人たち、色を見ることで信号の指示を確認できない人たちのためのものです。

私はこれまで、この音響式信号の意味、必要性をしっかり考えたことがありませんでした。恥ずかしいことに、視覚障害のある人たちが一体どうやって横断歩道を渡るのだろう? という疑問を真剣に意識したことがなかったのです。そんななか、ある視覚障害者の方から、ご自身の通勤途上にある横断歩道に音響装置をつけてもらえないだろうかという相談をいただきました。道路は、大泉街道。車の量は決して少なくない、都道です。
横断歩道に音響式誘導装置をつけること。これは、視覚障害者の皆さんのために――その命の安全のために、欠かすことのできないバリアフリー対策であり、差別解消法の求める合理的配慮の最優先の課題の一つである。私はそう確信し、11月の定例区議会一般質問で取り上げました。
答弁の中で、区内にある信号機は全部で603か所。そのうち音響式の誘導装置があるのはわずか36か所であることも確認できました。現にある信号機を着実に音響式に改めていかなければ。そしてまちづくりに取り組んでいるところ、新しく信号を設置する交差点や横断歩道は、すべて音響式にすべきです。大きな宿題として、この問題、これからも取り上げていくつもりです。
以下、質疑と答弁を転載します。(正式な議事録ではありません)

池尻
最近、視覚障害のある方から相談を受けました。毎日使う通勤途上の信号機に、音響誘導の装置をつけてもらえないかというものです。
視力に障害のある人が、どうやって信号を渡るのか。申し訳ないことに、私は真剣に想像してみたことがありませんでした。晴眼であれば当たり前に信号の色を見て、青信号に守られるようにして歩道を渡ります。しかし、視覚障害者には、信号の色は見えません。どうするのでしょうか?
その信号の前に立ち、目をつぶってみて、強い恐怖感を感じます。一体どうやってこの信号を渡れというのか。音で青信号を知らせてくれなければ、ひとりではとても信号機を渡れそうにありません。こうやって障害者の社会生活は大きな制約を受けているのだと、強く悟らされました。
この相談をふまえ、伺います。練馬区内に、交通信号機は何か所設置されているか。そのうち、音響誘導装置が付いているものは何か所か。まず、お示しください。
信号機の設置は、一義的には都の管轄です。また、すべての信号機を音響付きのものにするのは経費も手間もかかる膨大な作業です。しかし、ノーマライゼーションという観点からは、ごくごく当然の、そして緊急な合理的配慮の課題です。計画的に、確実に、音響信号機への移行をはかるよう、区としても積極的に行動を起こすよう求めます。ご所見をお聞かせください。
福祉部長
交通信号機の数につきましては、平成28年3月末現在で、区内に603か所設置されており、そのうち36か所が音響式信号機です。音響式信号機は、視覚障害者にとって、横断歩道を安全に渡るうえで、有効になものの一つと考えています。区としては引き続き交通管理者である警視庁に要請をしてまいります

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