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福島からの「避難者」のこと ~本会議での一般質問から~

11月30日の本会議での一般質問、最初に取り上げたのは福島からの「避難者」のことでした。
3.11のあと、避難指示区域以外から避難をしたいわゆる「自主避難者」もふくめ、福島からたくさんの人たちが全国に避難をされました。それから5年半。今なお都内に5000人を超す福島県民が暮らしているとのこと。原発事故の残した傷は、かくも深い…。
放射能に深く汚染された現地は、容易には安心して帰ることのできる場所にはなりそうにありません。「避難」生活はまだまだ続かざるを得ない。そして、「避難」してきた皆さんと、私たちはこれからも真剣に、誠実に、向き合っていかなければならない。そんな思いからの質問です。
とくに聞きたかったのは、「住まい」のこと。避難者の多くは、応急仮設住宅に暮らしています。避難用に位置づけられた都営住宅や民間の借り上げ住宅です。その応急仮設住宅について、福島県が来年4月以降、「自主避難者」への提供をやめると言い出したことから、当事者の間で不安と戸惑いが広がっています。そこで、こう聞きました。「都営のみならず、区営も含めた公営住宅の専用枠を拡大し、あるいは民間住宅の借り上げを継続するなど、避難者の生活の基盤である住宅保障を図るために、区としても踏み込んだ努力をすべきと考えます。見解を求めます。」
答弁は、なんとも冷ややかなものでした。せめて、都や国にしっかりと物を言う、くらいは答えてほしかった…。以下、質疑と答弁の全文です。
池尻成二
原発の事故で横浜市に避難していた中学1年の男子生徒が、小学校で恐喝まがいのいじめを受けて不登校になっていたことが明らかになりました。文部科学省が、横浜市や市教育委員会を指導する事態に発展しています。伝えられるところでは、いじめは当該の生徒が福島からの自主避難者であることと深く関連をしています。
あらためて、3.11のつめ跡の深さを思い知らされます。今なお、帰ることもできず、他方で避難先で本当には受け入れられていないと感じている避難者は、決して少なくありません。住み慣れた故郷とは大きく異なる環境と空気の中で、いくばくかの補償金は手にしても、生活の基盤、人のつながり、自分らしい居場所を見出すことができないままでいる人たちのことを、私たちはともすれば忘れがちです。横浜の事件を見聞きして、多くの区民がハッとしたのではないでしょうか。

東京都の資料によれば、福島県から都内への避難者は今年10月時点で、なお5,301人に上ります。練馬区にも223人が暮らしています。まず、これら避難者の中で応急仮設住宅の入居者の数、そのうち避難指示区域以外の地域から避難してきた、いわゆる「自主避難者」の人数をお示しください。
福島からの避難者の多くが、災害救助法に基づく応急仮設住宅を住まいとしてきました。その応急仮設住宅の提供が、来年3月で打ち切られます。「自主避難者」に対する措置ですが、今後、避難指示区域の解除が進めば、さらに多くの避難者が、暮らしの基盤である住まいを追われることになります。
この事態を受け、東京都は応急仮設住宅に入居している自主避難者を対象に、都営住宅に300戸の専用枠を設定しました。しかし、絶対数が足りないだけでなく、入居要件や現住所地から離れているなどの事情で、実際に応募があったのは180戸にとどまるとも聞きます。
原発事故が真に終息してはいないように、避難した人々の生活と希望の再建もまた、いまだなお途上にあります。被ばくへの不安をはじめとして、様々な思いと事情の中で東京での生活の継続を望む「自主避難者」が、安心して、地域の中で暮らしていけるように励まし共感を寄せることは、福島原発の電気で生きてきた私たちの責任でもあります。
都営のみならず、区営も含めた公営住宅の専用枠を拡大し、あるいは民間住宅の借り上げを継続するなど、避難者の生活の基盤である住宅保障を図るために、区としても踏み込んだ努力をすべきと考えます。見解を求めます。
技監
私から自主避難者への対応、大江戸線延伸、石神井公園駅周辺のまちづくりについてお答えします。
はじめに、自主避難者への住宅についてです。
平成28年9月30日時点において、東日本大震災による応急仮設住宅への入居者は、都内で2,694人、区内で135人、そのうち自主避難者は都内で1,366人、区内で70人となっています。
福島では、応急仮設住宅の供与が終了することに伴い、自主避難者に対して、避難元へ帰還し、円滑な生活再建を行うための総合的な支援策を始めています。東京都では、これまで都内での居住を希望する方に都営住宅の専用枠300戸を設け、募集を行いましたが、余剰がある状況です。加えて、優遇抽選も行っています。
こうした状況を踏まえ、区では応急仮設住宅の支援を行う予定はありません。今後、国、福島県、東京都の支援の状況を注視してまいります。

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