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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

手縫いの思い

 親しい方から、「ABCキルト」を作っているサークルが練馬にあると伺い、一度、訪ねてみたいとずっと思っていました。たまたま、昨日10日、上石神井小で開催された「かみしゃくキッズ秋祭り」で展示と実演のコーナーを持つと聞き、おじゃましました。

 

 手作り、手縫いのキルトの、多彩で多様なこと!
 ABCは、もともとAIDS Baby Cribの略で、エイズの赤ちゃんたちのための寝台用のキルト、とでも訳すのでしょうか。エイズ感染者の遺児たちの存在が社会的な関心を呼ぶ中で、小さな孤児たちを暖めるためのキルトを送ろうという運動が始まったのは、1980年代だとか。手縫いの小さなキルト片をつなげてつくるパッチワーク型のものが主流のようです。
 今では、ABCのAは、AIDSだけでなくAt-Risk(リスクを負った)という意味でも使われています。エイズに限らず、飢餓、感染症、児童売買、戦争…と、さまざまなリスク、困難を背負わされた子どもたちは世界中にいて、しかも増え続けています。
 練馬のABCキルトの会は、この上石神井小を拠点に10年以上も活動を続けているそうです。つい最近も、タイの施設に届けてきたというお話も伺いました。この日本でも、エイズ感染者が増加を続ける一方で、エイズに対する社会的な偏見と差別は、なお根深く、広く、残っています。日本では飢えや寒さに苦しむエイズ孤児の問題は必ずしもリアリティがある問題とはならないかもしれませんが、でも、キルトを通して発信される思いは、普遍的とも感じます。色合いも温かなキルトは、冷えたからだを温めてくれるだけでなく、きっとつらい気持ちを癒し安らげる力もあるはずですから。

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