Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

学校アスベスト その2

 2003年の夏休みが終わり、新学期に入ってからも視察は続きました。なかでも、O小学校の様子は、深く印象に残っています。
 授業が終わり、子どもたちがいなくなった教室に、担任の先生が残って残務の整理をしていました。校舎の最上階、6年生の教室です。先生と一緒に天井を見上げ、その荒れた様を確かめ、言葉が出ませんでした。先生がおっしゃるには、「去年の6年生は本当に荒れていて大変だった」と。この学校は、ほぼ全教室にアスベストが吹き付けられたままになっていましたが、際立って状態が悪かったのがこの6年生の教室でした。子どもたちのことは、もちろん、大いに気になりました。でも、それと同じように、あるいはそれ以上に、先生たちのことも心配です。この教室に、毎日、一日中、何年も居続けてきた先生たち。あるいは、おそらくはアスベストのほこりが舞う体育倉庫で、マットの出し入れをしてきた先生たち。
 アスベストに特有の疾患である「中皮腫」の患者1285人余の職業歴を調べたら、教師が36人も含まれていたという調査結果もあるそうです(富山医科薬科大・村井助手 朝日新聞7/21)。このすべてが学校でのアスベスト暴露によるものかどうかはわかりませんが、とても怖い数字です。
 練馬区の小中学校にむき出しになっていた吹き付けアスベストは、昨年度までに全部、除去されました。国や他の自治体に先んじて除去に踏み切った区の努力は多としますが、しかし、除去するまでに何十年にもわたってアスベストを吸い続けてきてた人がいることを忘れるわけにはいきません。

コメント