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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

一組「見解」への疑問 ~雨水中ダイオキシン問題~

 練馬清掃工場の雨水排出水から高濃度のダイオキシンが検出されたことについて、一組が「見解」を出したことはすでに紹介しました。この「見解」について、何回か考えてみます。まずは、「見解」のこの部分から。

 「気象条件によっては、これらダイオキシン類を含んだ土壌が埃や塵となり工場敷地内に堆積することが考えられます。」


 工場敷地外の一般の土壌の中にもダイオキシンはある、その土壌が敷地内に堆積しそれが洗い流されてダイオキシンが出たのだ――一組は、ここでこう言っています。前後の文脈を読み合わせても、ここに書かれた「土壌」が工場敷地外の、一般環境中の土壌を指していることは明白です。しかし、これには驚きました。工場の周辺にある路地の最大の部分は、北側と西側にある農地です。他の部分は、大半が舗装された敷地であり、塵や埃として風に飛ばされてくる土壌があるとしたら、まず最初に思い浮かぶのはこの農地です。すると、この農地にダイオキシンが含まれ、それが今回の調査結果につながったとでも…?
 一組のこの「見解」は、一つ間違うと、深刻な誤解を招く危うさをはらんでいます。一組は一度でも周辺土壌のダイオキシン調査をやったのでしょうか。あるいは、都や区が行ったデータがあるのでしょうか。周辺の土壌の実際の調査もやらずに、具体的な根拠もなく、ただ都全体の調査結果を持ち出して周辺の土壌にダイオキシンの原因を押し付けることは正当なことでしょうか。まして、その土地は、農地です…。
 今回、雨水から検出されたダイオキシンが何に由来し、なぜ雨水が汚染されたかは、しっかりと検証され説明されなければなりません。一般論やごく抽象的な蓋然性を指摘して終わりとするなら、無用な誤解と根拠のない不信を広げるだけに終わりかねません。もし周辺土壌中のダイオキシンを本当に念頭に置いているのなら、一組は、周辺の土壌の分析、あるいは工場内に堆積した塵や埃の由来の分析をしっかり行い、説明責任を全うすべきです。

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