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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

プールと「おむつ」

 なんというか、本当に久しぶりに、時間に追われることのない土曜日を過ごしています。といっても、溜まりに溜まった雑務をあれこれ寄り道しながら片付け、月曜日に審査する補正予算書を眺め、火曜の決算質疑の準備と、まぁやっていることは何も変わらないのですが、「マイペース」とは大事なもの。気分がずいぶんと違います…それはとまれ、決算質疑の報告を少しずつ。まずは「保健福祉費」から。

 子どもを育てた経験のある方なら、よく知っているはずです。区立プールでは、おむつの取れていない乳児はプールに入れないことになっています。公共プール、他に使う人のことを考えればそれもやむなし。赤ん坊の“おしっこ”タイムはさすがに親でも容易には感知できないし、ミルクが基本の食事のせいもあって、便もいたって不規則、しかもたいていは軟便です。乳飲み子はやがては成長し、2,3年もすれば遠慮なくプールに入れるようになります。ちょっとの辛抱です。
 でも、もし、おむつがずっと取れなかったとしたら…。体幹機能や神経の障害などで、排泄がうまくコントロールできない人は、決して少なくはありません。高齢者のケアの中でも、排泄ケアは大きな課題になります。「おむつ」を日常的に使用している人は、決して乳児ばかりではありません。そんな人たちも、プールは使えないのでしょうか?
 保健福祉費で取り上げたテーマの一つは、この「おむつ」とプール利用の問題でした。障害者の日中活動の場である福祉園利用者のご家族とお話していたときに、「おむつをしていると区立プールが使えない、プールが好きなのに」というご相談を頂き、ずっと気になっていました。「おむつ」=垂れ流し、といった誤解にしばしばぶつかり、「おむつ」を上手に使った排泄ケア、あるいは「おむつ」を少しずつはずしていくケアに取り組んでいる現場を知らないわけではないだけに、とても心に引っかかったのです。いや、もっと根っこに立ち返れば、排泄の障害を持ちながら暮らす人たちがプールを利用できるようにするための配慮や工夫に思いを致すことなく、ただ「おむつはダメ」としか言わないとしたら、それはおよそノーマライゼーションの理念に反することと思えたからでもあります。
 さて、質疑です。担当の課長さん、プールを使いたい、使わせてあげたいという関係者の気持ちを誠実に受け止めてくれたようでした。こんなやり取りになりました。(以下は、未定稿です。正式な議事録ではありません)

■池尻成二委員 それから関連をして、福祉園の利用者のプール利用について少し伺いたいと思います。障害をお持ちの方というのはプールがお好きな方は少なくない。私も身近によく知っている方がおりますけれども、いろいろな事情があるのでしょうけれども、身体的な負荷が少ないとか、心身のリフレッシュになるとか、あるいは社会参加の機会になるとか、いろんな面があるかと思います。福祉園の支援プログラムの中で、区立プールを利用している実績について資料をいただきました。それによりますと、七つの福祉園で昨年度ですけれども、計219回、多いところでは米川台が59回、大泉学園町が41回ということで、多いところではほぼ毎週、このプログラムを利用なさっているということのようです。ところが聞くところによると、おむつをつけて日々生活をなさっている障害者の方は、この区立プールのプログラムに参加できないということになっているように聞いております。まずこれが事実かどうかを教えてください。
■障害者施策推進課長 今のお問い合わせの件につきましては、排便のコントロールが困難な方につきましては、利用についてはできないということになってございます。


■池尻成二委員 教育委員会が福祉園に対する利用承認を行うに当たって、排便コントロールができない方は利用禁止ということで、今課長がおっしゃったようなことをおっしゃっているようです。もちろん衛生管理という点でこれは大事な問題なので、十分慎重な配慮が必要だということは重々理解できるのですが、しかしながらおむつについて言えば、おむつをする事情というのは実は個々さまざまでして、おむつをしている方であっても、排せつ管理のあり方、課題についてもまたこれは非常に個々ばらばらな事情があるだろうと思うのです。
 それで、排便コントロールができなくてだめだと、あるいはもっと端的に言うとおむつをしていればだめだというのは、ちょっと私はいかにも機械的な対応かなと感じないわけではないのです。いろいろ伺っておりますと、それぞれの福祉園で大体おむつが原因でプールを使えない方が数人、多いところでは5人ほどいらっしゃるようです。こうした皆さんはやむなく区立プール以外の施設をご利用のようなのですけれども、今使っていらっしゃる二つの施設、一つは大泉の特別支援学校、これは夏季の一時期のみです。それからあとは北区十条にある都障害者スポーツセンター、これは大変遠い、これはこれでまた負担が大きいということで、そこで改めで伺いたいのですけれども、十分な体調管理と専門的なスタッフによる排せつケアの体制を前提として考える限り、日ごろおむつをしている人でもプールを問題なく利用できる場合があるという現場の声を、私自身も何人かの専門的なスタッフから聞いております。そういう意見も踏まえて、障害者のプール利用を柔軟に運用できないのかどうか、ぜひ検討していただきたいと思うのですけれども、この点についてのお考えをお聞かせください。

■障害者施策推進課長 一人ひどりの障害者の方の要望というのにこたえていくというのが重要であると認識しております。特に今年の夏はもう非常に暑かったということで、プール活動をしたいと願う気持ち、切実に伝わってまいります。そういった中で一方で難しい課題もございます。どういったよい方法があるかということについて、今後検討していく必要があると考えてございます。教育委員会などの関係部署、また特別支援学校、また実際に支援に当たる施設関係者などと、十分な協議をしてまいりまして、そういった要望にどうしたらこたえられるのかということを、真剣に検討してまいりたいと考えてございます。
■池尻成二委員 プールを使いたい、あるいは使うことでケアが改善されるということがあるとすれば、できる限りそうした要望を酌み取れるための必要な配慮を行っていくということも、これはまたノーマライゼーションを進めていくうえでの区の責務であるだろうと思います。プール自体はこれは教育委員会の所管でありますけれども、ぜひ教育委員会の方も区立プールを障害者が、できるだけご本人の希望に応じて使えるようにご配慮いただきたいということも含めて、今の課長のご答弁にありましたけれども、前向きな検討をお願いをしたいと思います。

 いろいろと難しい課題もあるでしょう。一般のプール利用者の理解と協力も必要でしょう。「要望にどうしたらこたえられるか」という姿勢で、関係者の協議が進むことを願っています。

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