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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

ダイオキシン「0」の虚構

 こんな数字があります。
練馬清掃工場 1号炉 0.0000004ng/㎥。2号炉 0ng/㎥
 これは、練馬清掃工場の煙突から出る排ガス中の、ダイオキシン濃度の測定結果です(昨年7月測定)。数字は限りなくゼロに近く、2号炉などは文字通りダイオキシン「0」!すばらしい…
 しかし、実はこれは、一つの虚構であり、あえていえば虚偽です。「0」とは、ダイオキシンがなかった、という意味ではまったくありません。ここで言われているのは、測定機器が把握できる下限値を上回るダイオキシンは検出されなかったということ、ただそれだけです。
 下限値が限りなくゼロに近ければ、もちろん、この数字も一定の現実味を持っていると言えるかもしれない。しかし、違うのです。国の基準で言えば、下限値は1/30ng/㎥以上であればよいとのこと。言い換えれば、1/30、つまり0.03ngに満たない量のダイオキシンが含まれていた場合には「ゼロ」になってしまうのです。たとえば0.01ng/㎥のダイオキシンがあれば、1号炉の数字は数万倍に跳ね上がります。2号炉であれば、無限大。それが検出できないというただそれだけの理由でゼロにされてしまうのです。笑っちゃいられないが、笑ってしまいます。なんでこれが「0」なの?
 「検出下限以下」という言葉があります。NDと略されます。ダイオキシン測定は、事実上は、このNDです。事実、清掃工場の測定結果は、一つ一つのダイオキシンごとに見ればほとんどが「ND」なのです。もっともらしい数字が出てくるのは、ダイオキシンにはさまざまな種類があり、ごく毒性の低いダイオキシンがまれに下限を上回ることがあるからに過ぎません。「0」でないものを「0」と偽るのは、どんな理由があっても許されることではありません。 

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