Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「民泊」をどうする?

練馬区内には、いわゆる「民泊」はどのくらいあるか?
こういう問いに対して、区の担当課長は「200件程度」と答えました。区議会健康福祉委員会でのことです。いわゆる仲介サイトをWeb上でチェックして可能な限りで把握した数字、ということであり、もちろんそれぞれの民泊の実態が確認できているわけではないとのことですが、それにしても、ちょっと衝撃的な数字です。
「民泊」――戸建てや共同の住居の全部または一部を使い、対価を取って不特定のものを宿泊させる事業は、これまで二重の意味で違法性を問われてきました。
①旅館業法の許可を得ていない
②建築基準法上、住居専用地域では旅館・ホテルに類する用途は認められていない
それでも、特に大都市部を中心に、「民泊」が広がってきました。2008年に、民泊の国際的な大手仲介サイト「Airbnb」が日本に参入、住宅投資ブームと結びつく形で物件が急増し、Airbnbの登録物件はついに4万件を超えたと言います。
この民泊を、旅館業法とは別に合法化する道が開かれました。住宅宿泊事業法の成立です。この法律によって、旅館業法の許可を得ていない(得られていない)場合でも一定の条件を満たして届け出を済ませれば、合法的に民泊を営むことができるようになりました。そもそもホテルや旅館を目的とした建物を立てること自体が禁止されている住居専用地域でも、関係なしです。
届け出を受けるのは、都道府県や区などの保健所設置市。これらの自治体は、実際にどんな条件で届け出を受けるのか、それぞれの自治体で定めることができるようになっており、今、各地でこの条例づくりの議論が始まっています。
練馬区でも、来年2月議会での条例制定に向けて、議論が始まりました。所管する区議会健康福祉委員会には、すでに条例の骨子案が示され、間もなくパブリックコメントが始まります。
委員会には私も所属しており、様々な視点から意見を言いました。詳細はパブコメが始まったところでまた書きたいと思いますが、基本的な問題意識だけ整理をしておきたいと思います。
  1. 「民泊」のように居住を前提にしない建物は、無秩序な開発・建設と容易に結びつく可能性があり、特に練馬区内では圧倒的な面積を占める住居専用地域では、地域のコミュニティやまちづくりのありように重大な影響を及ぼす恐れがある
  2. 投資目的の事業が多くを占めると思われ、管理者・責任者が不在でも営業が可能であることとあわせ、地域の住環境・生活環境に及ぼす影響が懸念される
  3. 「外国人観光客への対応」が目的とされているが、法文上は観光客の利用に限定されてはおらず、定住性の低いさまさまなタイプの利用者が利用することが想定され、そうした事態も視野に入れた十分な配慮、手続きが必要である
  4. 許可でなく届け出のため、監督官庁の指導や規制が及びにくい中で、届け出の際の手続きや条件づくりが重要となっており、そのためには条例でしっかりした規定を置く必要がある
今、例えば大泉方面では、乱立と言ってよいほどのピッチで「シェアハウス」や「ワンルーム」の建物が建てられています。そのほとんどは小規模な賃貸で、当然、家主も管理人もいないのですが、これらの建物の中には入居者がほとんどいないものも目立ち、「民泊」を視野に入れたものではないかという指摘もあります。近隣の住民からの不安や懸念の声が議会にも頻繁に届くようになっており、こうしたことも含め、区がこれから策定していく条例がどのようなものになるか、たいへん大きな責任を負っています。このブログでも、ご意見お待ちしています。

コメント