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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

清掃工場の水銀(その3)

 今朝、光が丘清掃工場に行ってきました。排ガス中の水銀濃度が「自己管理値」を超えたために8日から運転を停止しているこの工場の、「維持管理記録」を閲覧するためです。
 「維持管理記録」は、廃掃法にもとづいて各焼却施設が作成するよう義務付けられているもので、具体的には燃焼ガス温度、排ガス中のCO濃度、排ガス中のダイオキシン類濃度、ばい煙濃度(硫黄酸化物、ばいじん、塩化水素、窒素酸化物に係るもの)などを記載することになっています。この維持管理記録は、「施設の維持管理に関し、生活環境の保全上利害を有する者」の求めに応じて閲覧に供することが定められています。この「維持管理記録」を見たいと思ったのは、実際にどの程度の水銀が出たのかを知りたかったからです。
 記録によると、水銀濃度は2号炉は7日23時に121μg/㎥Nに急騰、工場はごみ搬入を中止し炉の停止作業に入りますが、9日午前1時には測定上限を超えたためか記録がなく、続く2時には500μg/㎥Nを記録しています。1号炉のほうも、2号炉とほぼ同時刻に水銀地が上昇、8日の23時に80μg/㎥Nを記録、こちらは9日の20時に304μg/㎥Nの最大値に達しています。
 工場管理者である一組(清掃一部事務組合)は、公式には自己管理値0.05mg/㎥N(=50μg/㎥N)を超えたことにしか触れておらず、排ガス中水銀濃度の最大値が500μg/㎥N、つまり自己管理値の10倍以上に達したことはまったく明らかにしていません。※

※たとえば、「水銀混入ごみによる焼却炉停止についての報道発表資料」

 これは、リスクコミュニケーションという視点からだけでも容認できる対応ではない。たとえ瞬間的にせよ、自己管理値の10倍にも達する水銀が出たことは、環境や健康へのリスクを考える際に決してどうでもよいことではないはずです。事実の全体像を明らかにすることなく「排ガス中の水銀濃度が一時的に自己規制値を超えることがあっても、直ちに周辺地域に環境汚染や健康被害を生じることはありません」と断言して済ませる姿勢は、問題です。
 付言すれば、この維持管理記録、各工場で閲覧はできるものの写しを取るためには改めて情報公開請求をかけなければならないとされています。なぜ?? マスコミでも取り上げられ、近隣住民にとって重大な関心事であるに違いないのに、そしてむしろ積極的に情報が開示されてしかるべきなのに、公開請求の手続きを取り何日も待たされないと写しを取れないというのはおかしくありませんか? 一組の賢明な対応を求めるものです。

 この問題で、相次いでコメントを頂いています。水銀の「管理値」の持つ意味については、あらためて触れたいと思います。

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