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急増する経費、負担は? ~外環道工事の今(その3)~

外環道工事にまつわる懸念、もう一つは「経費」です。

外環道の関越~東名区間、約16kmの総事業費について、当初はこう言われていました。
   ・練馬~三鷹区間 約7km 7,640億円
   ・三鷹~世田谷区間 約9km 5,180億円
       いずれも6車線。事業費計1兆2,820億
2009年、国の国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)で外環道の整備計画が決定されました。その時の数字です。
この1兆2,820億円の全額が税金、ということではありません。当時は、ちょうど道路事業の在り方の見直しが激しく議論されていた時期。一時は、新たな高速道路は原則として有料道路事業、つまり道路利用料金を財源として整備するという話もあったのですが、最終的には直轄事業と有料道路事業を組み合わせた「新直轄」方式という中途半端な形に落ち着きます。外環も、この「新直轄」で整備されることになりましたが、実際には大半は直轄、つまり税金による整備です。
直轄部分はどのくらいなのか。税金はいくらくらい投入することになるのか? 政府はこう説明してきました。
「東京外環事業、関越―東名間につきましては、当初、全体事業費は1兆2,820億円、そのうち、直轄事業費は1兆357億円、有料事業費は2,463億円であったところです。」
(2015.3.10 衆院予算委員会)
有料道路事業部分は、ごく限られています。道路舗装や周辺の関連施設など、全体の約2割弱。残りはすべて税金です。そして、この1兆円を超す税負担のうち4分の3を国が、4分の1を都が負担します。都の負担は1兆357億円×1/4=2,589億円。外環は国の事業なので国が負担すると思っている方も多いかもしれませんが、実は都が2,600億円近くも負担するという仕組みで進んでいるのです。国にとっても都にとっても、大変な財政負担です。
しかし、問題はここにとどまりません。当初の推計ではとても収まらず、事業費が大幅に膨れ上がることが必至になってきているからです。国が外環道の事業再評価の結果、公表した数字によると、現時点での事業費推計は1兆5,975億円、なんと3,165億円も増えています
     ➡外環道事業再評価資料 (関東地方整備局事業評価監視委員会2016.05.19)
事業費増大の要因として、国が説明しているのはこうです。

このほかにも、地中拡幅部の大工事を始め、まだ契約に至っていない工事が数多く残されています。事業費の増加がここで止まる保証は全くありません。そして、その増加分のやはり4分の1は都費。つまり、私たち練馬区の財政にも直接・間接に大きな影響を及ぼしかねない支出です。

外環事業を、経費の面からも厳しくチェックし精査することが急務となっている。これが、もう一つの外環工事の「今」の姿です。

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